複雑・ファジー小説
- Re: スピリッツ (VS七星!! 動き出す野望編) 第34話更新! ( No.54 )
- 日時: 2011/09/02 18:25
- 名前: ベクトル (ID: j553wc0m)
第35話 「堕天使。」
ベルゼは軽くジャンプをしたり、柔軟をする。
「さっきまで座ってたからなぁ。体が硬いんだよなぁ。」
ベルゼはゲイボルグの中で、唯一スピリッツを解放できる存在。
基本的にはベルゼは戦わない。
だが、スピリッツを解放できる相手のときは全てベルゼが担当する。
ツツジはついさっきまで近くの町で能力を使い、暴れていた。
もちろん、これを見逃すわけにはいかない。
だから直々にベルゼが来たということだ。
いつもダルそうにしているベルゼだが、今日は何かが違っていた。
不敵に笑っていた顔は消え、鋭い眼に変わった。
その眼を見たツツジは、一瞬ゾクッとした。
まるで踏み込んではいけない領域に入ったような感じがした・・・。
「てめえ・・・・・分かってんだろうなぁぁ?」
ベルゼの顔が、一瞬で殺気立った顔に変わった・・・・。
「俺の側近に手を出して・・・・・ただで済むと思うなぁぁ!!!!」
ベルゼの言葉に一番驚いたのは、マリだった。
自分のことでこんなに取り乱している。
ベルゼには到底似合わない言葉。
だけど・・・・マリはその言葉がすごくうれしかった。
「いくぜぇ? スピリッツゥ、始動ぉぉーーー!!!!」
ベルゼの体から爆風が流れ出る。
「・・・・!?」
ツツジは言葉を失った。
本来、スピリッツを解放したときに出るオーラの色は、赤か白。(第25話参照)
だが目の前にいるベルゼのオーラの色は赤や白ではない。
どす黒く、悪魔と呼ばれるにふさわしい黒のオーラだった。
「な・・・・・なんだ・・・・お前は・・・・?」
ツツジは驚かずにはいられなかった。
初めて見た黒のオーラ。
得体のしれない能力。
「ああぁぁーん? まぁ・・・・・殺りあおうぜ?」
「!!!!」
ツツジから、笑顔は消えた。
そして・・・・ジワジワと恐怖が芽生えた。
だが、引くわけにもいかない。
「・・・・はっ!! 所詮そんなオーラ・・・・見かけだけだろぉがぁーー!!!」
ツツジはベルゼの周辺に多数の鋭利の岩を出現させ、
「死ねぇぇーーーー!!!!!」
そして一斉にベルゼに向けて飛ばす。
「・・・・・はぁ。この程度かぁぁ? ああぁぁーーん!!?」
ベルゼに向かって飛んだ多数の岩は、ベルゼの体に触れる前にピタッと止まった。
「なっ・・・!?」
ベルゼの周辺でピタッと止まる岩を見て動揺する。
「・・・・行け。」
そしてベルゼの合図とともに、多数の岩は今度はツツジの所に勢いよく飛んでいく。
「くっ・・!!!」
ツツジはすぐさま自分の周辺の地面から岩を出現させ、防御する。
「はっ!! 残念だった・・・」
そこでツツジの言葉はピタッと止まる。
気付けば自分の敵は・・・・・目の前にいる。
「なっ!? そんなバ・・・ぶへぇがぁっ!!!!!」
ツツジがしゃべる間もなく、勢いよくアッパーをかましたベルゼ。
その攻撃力は半端なものではなく、ツツジの体は10メートルぐらい上に舞い上がった。
普通の人間の攻撃力ではなかった。
「・・・教えてやるぜぇ。俺の能力はな、人間が物理的、科学的に出来っこねえって思ってることを俺は好きにできるんだよ。つっても訳が分かんないだろぉ?」
ベルゼは不敵に笑い、
「簡単にいえばなぁ、俺は頭に強く思い描いた、ありえねぇ空想を現実にできるんだよぉ!! たとえば・・・・・こんなこととかなぁぁ!!!!」
そう言うとすぐに、ベルゼの背中から何かが生えてきた。
「どうだぁ? ありえねぇよなぁ? ありえねぇよなぁぁーーーー!!!!!」
それは・・・・・綺麗な黒い翼。
鳥のような、りっぱな翼が生えてきたのだ。
これにはゲイボルグのメンバーも驚いた。
マリも驚きで言葉を失った。
ベルゼはその黒い翼をはばたかせ、飛ばされたツツジの方に飛んでいった。
一瞬で追いつき、ベルゼはこぶしを握る。
「・・・!!!!」
それを見たツツジは恐怖に支配され、怯える。
「・・・たとえばだぁ、ツツジ君。力の方向(ベクトル)ってのは、一定の方向だけじゃないのよ。他にもいろんな方向に働くんだぁ。だが、それが全部一定の方向に集中したら・・・・どうなると思う?」
ベルゼはニヤッと笑う。
もうツツジには笑いの感情などなかった。
あるのは・・・・恐怖だけ。
「や・・・・・やめ・・・・。」
ツツジは・・・・・・すでに理解していた。
「そうさぁ!!! 威力が何十倍にも・・・・・はねあがるんだよぉぉーーーーー!!!!!!」
ベルゼは握っていたこぶしでツツジを殴り飛ばし、50メートル先の地面に叩きつけた。
ベルゼは完璧に沈黙したツツジを確認し、地上に降り立つベルゼ。
その姿はまさしく悪魔だった・・・・。
事件が終わり、兵士たちの間でベルゼはこのような異名がついた。
「堕天使、ベルゼブル」と・・・。