複雑・ファジー小説
- Re: スピリッツ (VS七星!! 動き出す野望編) 第34話更新! ( No.55 )
- 日時: 2011/09/02 19:34
- 名前: ベクトル (ID: j553wc0m)
第36話 「空想。」
これはゲイボルグに新しく入ってきた新人、マリが書いている日記の内容の一部分である・・・・・。
以前、私は初めて戦場に行きました。
この「ゲイボルグ」と呼ばれる団体に入って、初めての戦場でした。
私はこの団体のリーダーである「ベルゼさん」からマシンガンを受け取り、目標である「ツツジ」と交戦しました。
・・・・ですが、相手は土を操る力を持った強敵。
歯が立ちませんでした。
・・・・そのときです。
ベルゼさんが助けてくれたのは。
吹き飛ばされた私を、優しく受け止めてくれました。
私はこの時・・・・・思いました。
彼は悪魔ではない。
それは噂の中だけ。
本当は・・・・優しい人なのだと。
ベルゼさんも実は能力者だったのです。
そのときのベルゼさんは、恐ろしく強かった。
圧倒的だった。
戦闘が始まってわずか一分足らずで終わらせてしまった。
終わった後の顔は戦闘してる時の鋭い顔つきではなく、いつも通りのダルそうな顔に戻っていた。
ちょっと・・・・安心した。
終わった後、私は医務室に運ばれ、安静にしてるように言われた。
早く仕事をしたい!! などと呟いていると、
「あせるな。早く怪我直せ。」
と、ベルゼさんに言われた。
そのときに、ベルゼさんの能力について詳しく聞いてみた。
ベルゼさんの能力は、「空想」。
その能力を使ってる間、物理的、科学的に人間ができないことを、頭に強くイメージして現実にする。
言い方を変えるなら、自分がしたい、できたらいいなと思ってる願望を現実にできるということ。
しかし、何でもできるわけじゃない。
他人、この世界に対しての直接的な願望は現実にはできない。
たとえば、「こいつ、消えてなくなればいいのに。」とか、「この世界が無くなればいいのに。」などのことをイメージしても、現実にはできない。
逆に自分に対する願望なら強くイメージすれば何でも叶う。
たとえば、「翼が欲しい。」とか、「力の向きを全部思いのままに操れるようになりたい。」など。
これによって、翼が生えたり、飛んでくる岩の力の向きを操り、岩を自由自在に操ることも可能にしている。
しかし、あくまでも普通の人間(能力を使っていない時のベルゼ)が、絶対にできないと判断したことしか現実にはならない。
できることを強くイメージしても効果はないということだ。
これだけ聞けば、この能力は無敵である。
しかし、ちゃんと短所はある。
それは、この能力は基本は3分、長くて5分が限度である。
しかも一日に三分だけしか使えない。
つまり三分使ってしまえば、次の0時までは能力が使えない。
基本は3分だが、最高5分までもつ。
しかし、3分以上使うと体に多大な負担がかかる。
最悪の場合は・・・・・死もありうる。
だから、長期戦はタブーだ。
・・・・以上、私が聞いたベルゼさんの能力の秘密です。
ちなみに私はその二日後に退院し、今も仕事に励んでいます。
これからもベルゼさんのそばで、仕事を頑張りたいと思う・・・・・。
「・・・・・って、なんだこりゃあ?」
「返してくださいよぉ!! 私の日記をなんで音読するんですか!?」
・・・・結局、ベルゼさんに見られてしまった。
「てめぇが俺の机に置いとくのが悪いんだろうがぁ。」
ベルゼは手に持っている日記帳をヒラヒラと揺らす。
「だからってなんで読むんですか!?」
マリは顔を赤くしながら言う。
よっぽど恥ずかしかったんだろう。
「暇だからだ。つうかぁ、てめぇなんで俺の能力を細かくメモってんだよ?」
「いいじゃないですか!! 興味を持ったんだから仕方ないじゃん。」
「はぁ。・・・・・ほらよ。」
ベルゼはマリに向かって日記帳を投げて渡した。
「そんなに見られたくねぇなら・・・・・大切にしてろぉ。」
「・・・・気を付けます。」
ピーピーピー!!!!
「!!!」
警報が鳴りだした。
どうやら出番のようだ。
「・・・・仕方ねえ。行くぜぇ、マリ。」
「はい!!」
ベルゼがダルそうにしているのに対し、マリは元気いっぱいだった。
「・・・・張り切ってんなぁ?」
「ベルゼさんも・・・・顔が二ヤついてますよ?」
「・・・・うるせえよ。」
こうして今日も、二人の戦いは始まる・・・。