複雑・ファジー小説
- Re: スピリッツ 人気投票開催中です!! 第39話更新!! ( No.71 )
- 日時: 2011/09/10 23:22
- 名前: ベクトル (ID: j553wc0m)
第40話 「鎧の男。」
「はあああぁぁぁーーーーーー!!!!!」
アキトは右手に鞘を握り、突撃する。
鎧の男はその場でゆっくりと一本の剣を構え・・・・
「むうぅん!!!!」
アキトの攻撃を真正面から受け止める。
その瞬間、ぶつかり合い起こった強い風圧があたりに広がる。
だが、そこでアキトは疑問に思う。
(一歩も・・・動かない!?)
そう、アキトは思いっきり突撃した。
だがカムイは、一歩も動かずアキトの攻撃を防いだ。
つまりこれは彼の力を表すには十分だった。
(・・・しかもスピリッツを・・・・解放していない。)
アキトはもちろん解放している。
だがカムイは違う。
アキトはギリッと歯を強く食いしばり、
「でええええぇぇーーい!!!!」
鞘を力強く振い、連続で斬りつける。
休む暇を与えないほどの攻撃。
だがそれを華麗に、そして正確に防御するカムイ。
「ぬうぅぅーーん!!!」
カムイは隙を突き、アキトの腹部に向かって斬りつける。
アキトはそれを防御するが、カムイは力いっぱい振り切り、アキトの持っていた鞘を吹き飛ばす。
「・・・・くっ!!!」
鞘は遠くまで飛ばされてしまった。
アキトは仕方なくいったん距離を置く。
そして、オメガに手をかける。
「そうだ。鞘ではなく・・・・お主の持つ剣でかかってこい!!」
「・・・・・おおおぉぉーーー!!!!」
アキトはオメガを抜き、突撃する。
「お主!! ワンパターンすぎるぞぉ!!!」
カムイは真正面からバカ正直に向かってくるアキトに言い放つ。
向かってきたアキトに向かって横に斬りつける。
「・・・・甘い!!!」
「!?」
アキトはジャンプしてカムイの頭上を飛び越え、カムイの横切りをかわす。
飛び越えた後、地面に着地すると同時に持ち前の運動能力で、瞬時に切り替えしてカムイの後ろから斬りかかる。
「でええぇぇーーーい!!!」
アキトはオメガを大きく振り上げる。
「見事なり!! ・・・だが!!」
カムイも瞬時に体の向きを変え、攻撃に備え防御する。
だが、その瞬間にカムイは気付く。
「ぬっ・・・・フェイントかっ!?」
気付くのが一瞬遅かった。
アキトは大きく振り上げ、縦に斬りつけると見せかけて・・・・
カムイの左横にステップで踏み込んでいた。
「はああああぁぁぁーーーー!!!!!!」
アキトはカムイの懐に横に斬りつける。
勝負は・・・・決まったように見えた。
キイィーーーーン!!!!
鳴り響く金属音。
ギリギリッとなる剣と剣のぶつかる音。
「!!!!」
アキトの攻撃は・・・・防がれた。
「・・・・我にまさか二本抜かせるとはな。見事なり。」
カムイの手には・・・・もう一本の剣。
どうやら瞬時にもう一本の剣を抜き、アキトの剣を防いだようだ。
「・・・・くッ!!!」
アキトはバックステップし、距離を置く。
はっきり言って、予想外だった。
驚きを隠せない。
「我の二刀流の威力・・・・とくと味わえぇ!!!」
カムイはアキトに向かって猛突進する。
そしてさっきとは立場が逆になり、今度はカムイが攻める。
二刀の剣の攻撃の嵐がアキトを襲う。
さっきよりもはるかに強く、速い攻撃。
アキトは防御するので精いっぱいだった。
「くッ・・・らぁぁーー!!!」
アキトは隙をついて、下から切り上げるように斬る。
だがそれはカムイにあっさりかわされ・・・・
「ぬんッ!!!」
カムイはアキトの右肩から斜めに思いっきり斬る。
「・・・ッ!!! ぐうううぅぅッ!!!!!!!」
アキトは軽く悲鳴をあげる。
激痛が走り、その場にひざまずく。
「・・・とどめなり。断罪ッ!!!!!!」
カムイは勢いよく剣をアキトに振り落とす。
アキトも目を閉じて、死を覚悟した・・・。
「カムイ様!!!!!!」
その声に動きがピタッと止まる。
アキトとの距離が数センチのところで剣の動きが止まる。
どうやら声の正体は、部下のサムライだった。
「・・・・何事なり!?」
「民衆、鎮圧しました。そして・・・・。」
部下のサムライは片膝をついて言う。
「違う場所で、さらなる反乱者が出ました。」
「!!」
それを聞いたカムイはゆっくりと剣をしまい、
「・・・では帰還する!! そして今度はそちらを鎮圧する!!!」
「はッ!!」
部下のサムライは走って去っていき、カムイもアキトを置いてゆっくりと立ち去ろうとする。
「・・・待て!! ・・・・・とどめは・・ささないのかッ!?」
はあっ、はあっ、と息を切らしながらアキトは聞く。
「我の任務にお前たちの始末はまだない。生きるがよい。アキト。」
「待てッ・・・・行くな!!」
そういい残し、立ち去るカムイ。
取り残されるアキト。
今の彼の心にあるのは、敗北感と・・・・
「・・・・くそっ!!! また繰り返される・・・・・・。」
さらなる犠牲者になる人を救えない自分のおろかさ・・・。
だが、あきらめるわけにもいかなかった。
ふと上を見上げると、飛び立つ飛行船。
「・・・?」
もしかして・・・・とアキトは思う。
(あれが・・・・奴の。・・・・なら!!!)
やはり・・・・今しかない!!
今あいつを止めなきゃ・・・・さらに被害が出る!!
「・・・俺が・・・・とめる!!!」
アキトは鞘とオメガを回収し、血を流しながらも一刻も早くみんなと合流するために急ぐ。
もう犠牲者は・・・・増やさない!!!
待ってろ・・・・カムイ!!!!