複雑・ファジー小説

Re: スピリッツ 人気投票終了!! 第41話更新!! ( No.76 )
日時: 2011/10/14 21:18
名前: ベクトル (ID: j553wc0m)


  第42話  「すれ違い。」



ーー キングジョージ内部 ーー


かなりの巨体と広さを持つ飛行船、「キングジョージ」。
その中心部の司令室で一人、外の景色をただ見つめるカムイ。

「・・・・・。」

その表情は鎧に覆われて見えない。
普段は不気味な威圧感を漂わせているが、今は違う。

なぜか・・・悲しそうだ。


「リイナ・・・・私は・・・・。」


ガシャン!!!


「・・・・!?」
カムイは驚いた。
カムイは後ろを振り返る。


そこには・・・3人の人影。
アキト、レイ、ホープの三人だ。

「カムイ・・・俺がお前を止める!!!」
アキトは強く言い放つ。

「・・・なぜだ? お主たちはいったいどうやってここまで侵入を!?」
アキトたちを睨み、尋ねるカムイ。

「確かにここは広いな。でもウチんとこの船長にかかればなんてことねぇよ。」
レイはゆっくりとカムイに近づきながら言う。
アキトたちも同様に近づいていく。

「お前のいる位置、そして船の構造をすべて把握して最短ルートで来たんだよ。もちろん、騒ぎにならねぇように静かに・・な。」
レイはカムイの前でピタッと止まる。

「・・・今度は三人がかりということか。」
カムイはゆっくりと腰にある剣に手を伸ばす。

「あせるな。まずはこいつから話がある。」
レイはアキトの肩をポンッと叩き、カムイから離れる。

「・・・カムイ。話がある。」
「アキト・・・我に何か用か?」
カムイはアキトを睨みつける。
アキトはゆっくりと口を開く。

「お前の真意・・・・聞かせてくれ。」
「・・・? どういうことだ?」
カムイは聞き直す。

「お前・・・・本当は戦いたくないんじゃないのか?」
「・・・!!!」
アキトはそのまま話を続ける。

「お前の剣から・・・悲しみが伝わったんだ。なぜだ? 俺はそれを聞きに・・・」
「お主には関係ないことだ!!!」

アキトの言葉にカムイは声を荒くする。
だがこんなことで引き下がるアキトではない。

「・・・それを聞くまでは帰れない。俺はお前を救いたい。」
「お主には関係ない。それ以上の言葉は無用なり・・。」
「・・なぜだ!?」

アキトはもう一度尋ねる。
しかしカムイは答えない。
カムイはゆっくりと剣を抜く・・。

「アキト!! 一度離れて!!!」
「・・・くっ!!」
ホープの言った通り、一度距離を置くアキト。

「アキト・・・我はあの方に逆らうわけにはいかない。あいつのためにも!!!」
「・・あいつ!? 誰のことだ!?」
アキトはもう一度尋ねるが、カムイは聞こうとしない。


「ぬうぅぅおぉぉーーーーーー!!!!!!!!」
カムイの周りから白いオーラが放出され、風圧が吹き荒れる。

「ぐっ・・・!!! スピリッツを解放したんだね・・。」
ホープは強烈な風圧に耐えながら言う。

「・・・仕方ない。スピリッツ・・・・解放!!!」
3人同時にスピリッツを解放する。

「アキト、分かってるな!? 交渉は失敗だ!!」
「・・・・ああ。分かっている。」
レイの言葉に、アキトは胸を痛めながらも答える。

「ぬうううぅぅーーん!!!!!!」
カムイはアキトに近づき、剣を振り下ろす。
「ぐッ・・・!!!」
アキトは正面からそれを受け止める。

「はあッ!!!」
ホープはその隙にカムイに近づき、蹴りをかます。
カムイはそれをもう一本の剣で受け止め、一度距離を置く。

だが、そこにレイが追撃に入る。
「逃がさねえよ!!!」
二丁のダブルショットで連射する。
カムイはレーザーを剣ではじきながら、レイと距離をとる。

「アキトッ!!」
「ああ!!」
レイと距離を置こうとしているカムイをアキトとホープが二人で挟み込む。

「でえええぇぇーーい!!!!!」
「はあああぁぁぁーーー!!!!」

そして二人同時に剣で接近戦を仕掛ける。

「・・・ぬおおぉぉぉーーー!!!!」
カムイはそれに臆することなく、二人の猛攻を防御していく。

「くッ・・・!! さすがだなカムイッ!!!」
以前受けた深い傷を負いながらも、必死にカムイに食らいつく。
「さすが・・・だね!! ・・だけど甘いよ!!」
ホープはニヤッと笑い、一度距離をとる。

「・・!?」
カムイは疑問に思う。
しかし答えはすぐに出た。

「食らえぇ!!!」
ホープはダブルショットを手に取り、連射する。

「それがどうしたというのだぁ!!!」
カムイは持ち前の剣さばきではじく。

しかし、瞬間的に、カムイは殺気を感知した・・。

「・・・・!!!」
カムイは反射的に空中に飛んだ。
その瞬間、レーザーが通り過ぎた。

どうやら、レイが放ったスナイパーレーザーのようだ。

「ちッ!! なんて反応だよ!!」
レイは指をパチンと鳴らし、悔しがる。

「見事なり!! だが・・・惜しかったな。」
「・・・まだだ。」
「・・なに!!!」

カムイの背中、つまり真後ろに・・・・アキトがいた。

「アキトォ!! お主なぜッ!?」
驚きを隠せないカムイ。
防御は間に合わない・・・。

どうやら、空中に逃げることをアキトは予想していたようだ。

「でええええぇぇーーーーーーーいいッッ!!!!!!!!」
アキトはオメガで力いっぱいカムイの腹部を切り裂き、吹き飛ばした。

だが・・・・

「・・硬い!!!」
鎧が硬く、カムイに傷をつけることはできなかった。
その代わり、カムイの鎧に綺麗な切り口をつけた。

「ぬうう・・・我の鎧を貫くとは見事なり。」
吹き飛ばされた後、カムイは片膝をつきながら呟く。

「ちッ・・・惜しいなあ。」
あともう一息なのに、とレイは悔しがる。


「どうやらお主たちに・・・・手抜きは無用なようだな。」
カムイはゆっくり立ち上がり、

「今度は・・・・手加減はせんぞ!!!!!」

カムイは強く言い放つ・・!!