複雑・ファジー小説
- Re: スピリッツ (VS七星!! 動き出す野望編) 第42話更新! ( No.79 )
- 日時: 2011/10/16 21:46
- 名前: ベクトル (ID: j553wc0m)
第43話 「分身。」
立ちはだかるカムイの圧倒的威圧。
今までに戦ってきた敵とは桁違いだ。
「いくぞッッ!!!!!」
カムイはそう叫ぶとゆっくりと深呼吸し、
「はぁぁーーー・・・・」
カムイの体が二つに分かれていく・・。
「!?」
アキトたちは目を疑った。
目の前には・・・・カムイが三人。
「まさか・・・・分身!?」
ホープがそう言うと、
「その通りだ。我の能力は分身。自分と同じ強さの分身を作ることができる。」
たった一人でも手こずっているアキトたち。
三人となれば、もはや絶望的。
「なら・・・僕だって!!」
ホープはそう言うと、カムイの能力をコピーし自分の分身を一人作った。
だが・・・
「無駄だ。」
カムイがそう言った直後、ホープの分身は霧のように消えた。
「・・!?」
なぜ・・・コピーができない!?
「お主の能力はコピーか。だが残念なり。この能力で作った分身たちを常に頭に意識をしていなければ、その分身は消えてしまうのだ。」
「・・・なるほど。」
ホープは苦笑する。
「・・・えらいご丁寧に教えてくれるな。余裕なのかねぇ?」
レイがそう言うと、
「心配するな。話したところで我の勝利は変わらぬ。」
「・・・へぇ?」
レイはキッと睨む。
ーーエアロバード内ーー
通信機ごしで会話を聞いていたセリアは、
「・・やばいわね。」と呟く。
「ホープはなぜ分身を使えないんだ?」
ジークはセリアに聞く。
「簡単よ。常に分身に意識を置いたまま戦うなんて普通は不可能よ。脳の柔軟さ、そして何より途切れない集中力がなければ無理ね。あの子と互角の天才かもね・・・。」
「・・あの子?」
セリアの言葉に、不思議そうな表情を浮かべるフェリス。
ーーキングジョージ内ーー
「さあ!! もう余計な説明は無用なり!!!」
カムイと分身は一斉に突進する。
カムイ自身はアキト、そして分身二体はレイとホープそれぞれに行く。
「やばいぜ・・・。」
レイは距離を置きつつ、ダブルショットを連射する。
だが剣ではじかれつつ、徐々に距離を詰められる。
「やっべ・・・」
カムイ分身は一気に距離を詰め・・・・
レイの体を切り裂いた・・。
「ぐッ・・・・アアああッ!!!!」
レイの左肩からななめ右下の腹から、赤い液体が飛び散る。
体が倒れ、そのまま壁にもたれかかる。
「レイィ!!! ・・・くッ!!」
ホープはレイに気がいってる間に、カムイ分身に詰められる。
そして、カムイ分身の横切りは、ホープの横腹をとらえた。
ポタポタと落ちる赤い血。
「ぐッ・・・・うぅ・・」
片膝をつくホープにカムイ分身は容赦なくホープを蹴り飛ばす。
地面に倒れこみ気を失うホープ。
「レイ!! ホープ!!」
アキトはカムイの攻撃を防ぎつつ、痛みと戦いながらも食らいつく。
だがやはり動きが鈍っている。
カムイは一瞬の隙をついてアキトのオメガを弾き飛ばす。
「うっ・・・・。」
「終わりなり・・アキト。」
カムイは剣をアキトに向け言う。
アキトに・・・もう術はない。
「アキト・・・これがお主らの実力。我を超えずして、どう救うというのだ?」
「くっ・・・。」
「だが・・・・話だけはしてやる。」
カムイはゆっくりと口を開く。
「私は・・・愛する者を救うために戦っている。」
「・・!?」
「だが・・・私には救えない。わが王は強すぎるのだ。刃向うことは許されん。刃向えば・・・彼女も私も死ぬだろう。」
カムイは悲しそうに語る。
「だが我が戦い続ければ、彼女は生きられる。牢獄の中でも幸せに・・・だ。」
「なに!? ・・・本当にそう思うのか?」
「何・・?」
アキトは反抗するように言う。
「本当に彼女は幸せか!? 違う!! 彼女もきっとお前と一緒にいたいと願うハズだ!!!」
「黙れッ!!!! 主に何が分かる!? 私が刃向えば・・・」
「それでもッ!!! お前のことを待ってる!! それに約束を守るという確証もないッ!!!」
アキトはカムイに精いっぱい叫ぶ。
「・・・どうすればいいと言うのだ!? 我には・・これ以外に救う方法はみあたらない!!!」
「お前の恋人を・・・俺たちが救ってやる!!」
「敵であるお前たちを・・・・信用などできん!!!!」
「なら・・なぜお前が救いにいかない!?」
アキトの言葉にカムイは黙る。
そしてまた口を開く。
「私が戦えば・・・負けることは分かっている。」
「それは試してみなければ分からない!! なぜしてもいないのに決めつける!?」
「もういいッ!!!!!!」
アキトの言葉をかき消すようにカムイは強く言い放つ。
「お主らには関係はない。一人づつ我が始末する・・。まずはアキト・・・主からだ。」
カムイは分身を消し、アキトにゆっくりと剣を向ける。
「くそッ・・・アキトッ・・!!!」
レイは絶望していた。
仲間を救えないことに。
意志とは裏腹に・・・動かない身体。
流れ落ちる赤い血。
レイは「くそッ!!」と地面を叩く。
ふざけんなよッ!!!
こんなとこで終わっていいわけあるかッ・・!!
誓ったんだ・・・・もうアイカみたいな犠牲は出さないって・・。
動け・・・動けッ!!!!!!
「・・・!?」
どこからか声が聞こえる・・。
いったいどこから・・!?
レイ・・・。
仲間を・・・・そして鎧の彼を救ってあげて。
あなたしか・・・・救えないから。
ああ。そうか。
奴はまだ・・・間に合うんだよな。
俺が奴を救わねえとな。
戦わずして逃げて後悔しないためにも・・。
そして奴の愛する人を・・・失わないためにも。
ありがとう・・・・。アイカ。
「さぁ・・・アキト。お主を断罪してくれるッ!!!!!」
「くッ・・・・」
カムイは剣を振り上げる。
アキトは死を覚悟した・・・。
「断罪ッ!!!!!!!!」
カムイは剣を振り下ろす・・・・!!!!
「!?」
カムイの剣はアキトの前でピタッと止まる。
「・・・なんだ!?」
カムイは殺気の方向を向く。
そこには、ポタポタと赤い血を垂らしつつも、立ち上がっているレイがいた。
「オオオォォォォォーーーーーーーー!!!!!!!!!」
今までにないスピリッツのオーラがレイを激しく取り巻く。
そしてレイは・・・・・・覚醒する。