複雑・ファジー小説

Re: スピリッツ (VS七星!! 動き出す野望編)  ( No.83 )
日時: 2011/10/28 20:56
名前: ベクトル (ID: j553wc0m)

  第47話  「平穏。」



キングジョージは墜落。
そしてアキトたちはエアロバードに帰還。

約束通り、一人も欠けることなく・・・・彼らは帰ってきたのだ。


カムイを無事説得し、サムライ隊を全員避難させるというミッションは完璧にクリアした。


だが・・・彼らのミッションはまだ終わっていない。
カムイの大切な人を取り戻すのもミッションの一つだ。
無事帰還できたことに喜ぶ暇もない。


しかし彼らにすぐ行動してもらうのは無理だった。
彼らは傷を負っている。



このミッションが行われたのは・・・一週間後だった。

作戦は単純。
強行突破だった。

だが今の彼らには、もはや普通のレジスタンス兵など敵ではない。
蹴散らしながら、牢獄にいたリイナさんを助けることができた。


カムイの事、そして事情を話すと彼女は泣きながら喜んだ。

そして・・・あっさりミッションは成功した。





そして今、彼らは無事にリイナさんを連れて、カムイとサムライ隊の仲間の所に戻ってきた。


カムイとリイナさんが久しぶりに再会する・・。
二人が会うのは何年ぶりなんだろうか。


「リ・・・リイナ・・!!!」

リイナを見たカムイの顔は笑顔で、ホッとした様子だった。
久しぶりに見た愛する人・・。

彼女が・・・目の前にいる。


「カムイッ!!! カムイィーーー!!!!!」
「リイナァーー!!!!」


二人は・・抱きしめあった。
久しぶりに感じる温もり。

やっと会えた二人。
もう・・・戦う必要もない。


「イヤッホォー!!! よかったなァカムイィ!!!」
「奥さん大事にしろよォ!!」
「今度はさらわれんなよォ!!」
「もう俺は戦いはごめんだからなあ!!」


サムライ隊・・・いや、仲間の温かい祝福。

そうだ。彼らがいたから・・・
我は・・・ここにいるのだ・・!!!




「お主たちィーーーー!!!!!!!!」






カムイは力いっぱい叫ぶ。

サムライ隊の仲間が、そしてエアロバードのみんなが注目する。
辺りは静かになり、鳥のさえずりさえも聞こえない。



カムイの目からは涙がポタポタと流れ落ちていく・・。


そして心を込めて・・・・、













「・・・ありがとうッ・・・!!!!」







こうつぶやいた。
それは、とても小さい声の感謝の言葉だった。

だけど・・・・


彼らの胸には・・・・深く刻まれた。





後にカムイは仲間に祝福され、久しぶりに笑いあえた。


そして・・・・


「すまなかったな。お前たち。」

カムイがエアロバードのみんなに向かって言う。
別れの時が来たようだ。

「主たちには感謝しておる。」
カムイは深く頭を下げる。


「かてぇなァカムイ。最後くらい気楽にいこうぜ?」
「レイ・・・。」
「じゃあな。達者で幸せにな。」

レイはカムイに背を向けながら、手を振って船に乗り込む。

「幸せにね。カムイさん。」
「またどこかで会おうね♪」
「ホープ、リフィル・・・いろいろすまなかった。」


それぞれが別れの言葉をかけ、次々と船に乗り込んでいく。


後は・・・アキトだけになった。


「・・・・。」

「・・・・。」

お互いに無言になり、ただ見つめあう二人。


「・・・アキト。お前が俺を本当に救ってくれた。感謝している。」

カムイが先に口を開く。
それに対してアキトは、

「・・俺だけじゃない。」
「・・・?」

アキトはエアロバードを見ていった・・。




「仲間が・・・いたからできたんだ。」



アキトはフッと笑い、エアロバードに乗り込んで行った。






「・・・・行ってしまいましたね。」

二人きりになったリイナとカムイ。
エアロバードが飛び立った方向を見て、リイナは言う。


「あの方達は世界を変えようとしてるのでしょう? 大丈夫かしらね・・・」

「心配はいらぬ。」
「えっ?」

カムイの言葉にリイナは少し不思議に思う。

カムイはゆっくり口を開く・・。




「彼らならきっと・・・・・世界を変えてくれる。」






ーーエアロバード内ーー



「ねぇレイ? なんで途中から熱くなったの?」

「はあ!? 熱くなってねぇよ。」

ホープとレイは二人でしゃべっていた。
どうやらホープには気になることがあったみたいだ。


「だって、なんか途中からアキトよりも熱くなかった? 俺が助けてやる!! ・・・みたいなオーラだしてたしね。」
「そんなの俺の勝手だろうが!!」
「・・・やっぱり熱くなってたんだね・・。」
「うっ・・・。」

図星を突かれ、何もいい返せないレイ。


「う・・・うるせぇな!! ほっとけるわけねぇだろ!!」

「・・?」

レイの言葉に首をかしげるホープ。






「あいつは俺と同じ・・・・愛する人に命を懸けるバカだからな。」



レイは苦笑しながらも、その顔はホッとしていた。




アイカ・・・・俺はやっと・・・


お前との約束を果たせた気がするよ。