複雑・ファジー小説
- Re: スピリッツ (戦争鎮圧編) ( No.9 )
- 日時: 2011/07/21 23:17
- 名前: ベクトル (ID: j553wc0m)
第7話 「出会う運命」
ーー地上の「サリヤタウン」ーー
アキトは地上でミッション中だった。
ミッション内容は・・町の治安捜査。
この町は結構広い街で、レジスタンスの支配が比較的少ない街。
レジスタンスによる問題、事件が起きていないか調査していた。
(・・問題ないみたいだな・・。)
アキトは通信機を取り出し、
「ここは大丈夫みたいだ。・・帰還する。」
「了解!!」
セリアはそういって通信機を切った。
「・・さて、帰るか・・。」
アキトが帰ろうとしたそのとき、町の中心部がざわざわしているのが聞こえた。
(・・・なんだ? ・・行ってみるか。)
アキトは声がしているほうに向かった。
「なんだよ? このレジスタンスの兵士である俺に逆らうのか??」
レジスタント兵が一人の若い男性に文句を言っていた。
「誰もそんなことは言っていない。私はこの子が可哀想だと言っただけだ。」
若い男は傷だらけの女の子を抱えながら言った。
「お前らのストレス発散のためにこの子は生きてるんじゃない。」
「なんだとぉー!!」
今にも喧嘩が始まりそうな雰囲気である。
(・・まずいな。・・仕方ないか・・。)
アキトは静かに鞘に手をやった。
が・・
「逆らった罰だぁぁーーー!!」
兵士は刀を取り出し、若い男に斬りつけた。
(まずい!! ・・間に合わない!!)
だが兵士が斬りつけたところに若い男はいなかった。
いつの間にか兵士の後ろにいた。
「なっ・・・どこいっ・・がは!!」
若い男は剣を抜き、持ち手のところで兵士の頭を殴り、気絶させた。
「・・すまんな。寝ていてくれ。」
周りからは「おおぉー!」っと歓声が上がる。
アキトは疑問に思った。
(・・あの動き・・・素人じゃない。速い・・。)
そう思っていると若い男は、傷ついた女の子を親に渡し、こっちに歩いてきた。
そして、横を過ぎようとしたところで止まった。
「・・・君は・・強いな。」
「・・何!?」
若い男はうっすらと笑い、
「君とはまた・・会えそうだ。」
「・・何者だお前?」
アキトはキッとにらみ言った。
「・・私の名はジーオス。それ以上は秘密だ。君は?」
ジーオスは不敵に笑いながら言う。
「・・・アキト」
「・・アキト・・良い名だ。」
ジーオスは歩き出し、アキトに背中を見せていった。
「また会おう・・。アキト。」
ジーオスはゆっくりと町の人ごみにまぎれ、消えていった。
「・・・ジーオス・・」
アキトは何かはわからない運命的なものを感じていた。
(・・・また・・会いそうだ・・。)
ーーエアロバード内ーー
戻ってきたアキトは司令室に行った。
「お疲れ様。」
セリアはにこっと微笑んで言った。
「・・・聞きたいことがあるんだ。」
「何?」
セリアは尋ねた。
「・・ジーオスって男・・知ってるか?」
「・・えっ!?」
セリアは驚いていた。
「・・どうした?」
「アキトあなた・・会ったの?」
「・・町で女の子をレジスタンスから助けていた。」
セリアはそれを聞いて表情が固まった。
「ジーオスって・・あのジーオスか?」
近くにいたジークはいった。
「・・知っているのかジーク?」
「ああ・・・レジスタンスの幹部の一人だ。」
「・・なに!!」
アキトは驚きを隠せない。
近くにいたフェリスも口を開いた。
「・・ジーオスはレジスタンスの幹部、七星の一人よ。私たちがこの組織を作って間もないころ・・一度戦ったことがあるの。」
「・・ホープとレイの二人がかりでも敵わなかったんだ。」
ジークは静かに言った。
「・・そこまで強いのか。確かに・・並みのスピードじゃなかった。」
「アキト・・今は絶対にそいつを相手してはいけないわ。」
セリアは真剣に言った。
「でないと・・・死ぬわよ。」
「・・・了解した。」
アキトはそういうと司令室を出て、部屋に戻った。
(・・今の俺には敵わない・・・か。)
アキトは部屋に戻り、寝ころんでいた。
「・・・・くっ!!」
アキトは悔しかった。
手合せしなくても大体わかっていた。
動きで・・実力が。
「俺は・・・もっと強くなる。でないと・・・世界は変えられない。」
アキトは横に置いてあった鞘を強く握りしめた。
(・・・待っていろ・・。ジーオス!!)
いつか・・・かならず・・・・。