複雑・ファジー小説
- Re: あたし・事件簿(即興短編ものがたり) ( No.4 )
- 日時: 2011/07/23 15:18
- 名前: ゆかむらさき ◆gZKBI46muE (ID: 6nCB5dVP)
「……!!
……やめて……
やめて! やめてぇッッ!!」
生まれてはじめて……優介くんに ドキドキした。
あたしがこんなに呼吸を乱してドキドキしているのに、彼は 何にもなかったような顔で あたしを寝かせっぱなしにしたまま ムクッと起きあがった。
そして 机の上に袋を広げて置いてあるポテトチップスを一枚つまんで コーラのペットボトルに口をつけてゴクゴクと飲みだした。
コーラを飲む優介くんの動く“のどぼとけ”を見て よけいにドキドキしてしまうあたし……。
(なんだろう……この気持ち……
もしかして あたし……
優介くんに…………)
放心状態で動けないあたしは 寝たままの格好で優介くんを見ていた。
「ゲブッ」
コーラを飲んだあとの彼のゲップが あたしのドキドキをやわらげた。
でも……まだ 今までのように 彼の顔をまともに見ることができない……。
あたしも ゆっくりと起きあがってポテトチップスを一枚 口にいれた。
「……ついてるぜ。」
優介くんは あたしのくちびるを指でつまんで、ポテトチップスの“かけら”を取ってくれた。
……もしかしたら 本当はついてなかったかもしれないけど…………。
さっきのことがあってから 優介くんが少し動くだけで 体がビクついてしまう……。
(やっぱり あたし…………おかしい……)
そのまま優介くんの手が伸びてきて あたしの肩を抱いた。
ガタンガタン…………ガタンガタン…………ガタンガタン…………
「好きだ…………」
実は あたしたちの家の上には電車が通る橋がある。
優介くんは まっすぐあたしの顔を見て何かを伝えた。
しかし 電車の音が 彼の言葉を消してしまい、うまく聞きとることができなかった。
彼が 何を言ったのかが気になって 電車が通過したあとにもう一度……聞いてみた。
「ごめん。 聞こえなかった。
もう一回 いって……」
「……もう いわない。」
まるで長い間待ちつづけて やっと手に入れた大切なものを また失ってしまったような気持ち……。
胸のなかが モヤモヤする……。
(だって……電車が来たとき……優介くんのからだが ものすごく震えていたんだもん…………)
「……今までどうりにしていれば良かったのに……
…………おまえが いきなり変なこと言ーだすから いけないんだ。」
「……うん。
……ごめん。」
「今さら謝ったって………………遅い」