PR
複雑・ファジー小説
- Re: あたし・事件簿(即興短編ものがたり) ( No.7 )
- 日時: 2011/07/24 23:53
- 名前: ゆかむらさき ◆gZKBI46muE (ID: 6nCB5dVP)
「!!」
優介くんは あたしの肩を抱いた手に力をいれて 自分の胸に抱き寄せてきた。
もちろんあたしは 彼の胸のなかで 大混乱しながら固まってしまった。
「……ぜんぜん気づいてないんだな おまえ……
俺がどれだけ…………」
「あんたたちー。 ケーキ切るから
下降りてきなさーい。」
一階でお母さんの呼ぶ声が聞こえる。
「……ケーキだってさ。」
優介くんは 腕を離して立ちあがった。
「………。」
あたしは動けない。 心臓が暴れて……苦しい。
「……チーズケーキだぞ。 おまえ好きだろ。」
「うん……。 すき……
……かもしれない…………」
あたしをこんな気持ちにさせといて、優介くんは 何もなかったように一人でサッサと一階に降りていってしまった。
……ケーキどころじゃない。
あたしの頭のなかにはケーキよりも、“男”の優介くんでいっぱいだった。
ケーキを食べているときも……
彼が帰ってしまったあとも……
眠りにつくまで ずっと。 ずぅっと……。
事件ファイル・1>ひとつ部屋の中の誘惑 《おわり》
PR