複雑・ファジー小説

Re: —//unknown,00— ( No.3 )
日時: 2011/07/27 18:16
名前: 蒼の絵の具 (ID: T3.YXFX2)

「あぁ、キミが転校生の・・・」

「・・・」

「・・・にしても随分若い後継者さんだね」

「後継者に若いも若くないもあるか」

「けど忌み嫌われる一賊にしては随分綺麗な顔立ちしてるよね。俺、もっとこぉんな悪魔みたいな顔だと・・・」


妄想された物を見て俺は溜息を吐いた。


「そんな化け物がどこにいる」

「そうだよねー」


俺の世話になる『特殊課』の担任という桜牙 蘭という男は、意外な優男だった。

何故か出会った瞬間からずっと笑っている。


————・・・他に顔は作れないのか。


「ここが教室だよー」


ドガァァァァンッ


「・・・」

「・・・」

「わーーーっ先生ッ!?」

「うぇっげほぉっ!お前・・・ッまた失敗しやがって・・・ッ」

「す、スイマセン!薬品の量・・・間違えたのかな・・・」

「お、俺のガン○ムがぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」

「そんなの只のオモチャだr(ゴスゥッ)グハッ!?」

「お前には判らない!この美しいフォルムなど!」

「・・・」


俺はスタスタと壊れた(粉砕)ガン○ムに近付いて、チョークを1つつまんで地面に魔法円を描いた。

円が光り、ガン○ムは修復される。


「うっわぁ!ありがとう!えっと・・・」

「・・・転校生の黒陰 刹那だ」

「ありがとう!転校生の黒陰 刹那君!キミは命の恩人だ!」


何故か命の恩人呼ばわりされた。

一斉に全員の視線が俺に集まる。


「・・・転校生?」

「噂ではもっと・・・こう」

「そうだ!噂ではケンカっぱやい悪がきだと聞いてたぞ!」

「一体ドコからそんな噂を耳にしたんだい?」

「・・・あの、この課って男しか居ないんですか?」


周りを見れば女子なんて一切居ない。

男子のみだ。


「そうなんだよ。まぁ女性には危険な事、仕入れられないでしょ?」

「・・・」


ダァンッ


「・・・フンッ」

「・・・誰?」

「クラスで一番頭がいい魔月 琥珀君だよ」


乱暴に彼は座ったかと思うと何故か俺を睨んできた。

・・・何もして無いのに。

————・・・と。


ズイッ


「!」

「お前・・・」


途端に彼が目の前にいて、もう少しで額がぶつかるところにまで居て、身を乗り出して俺に何かを聞こうとしていた。


(っていうか近い、近い!)


「・・・ちょ、離れ———」

「・・・お前、死————」


ドガァァァンッ


「!」

「遅れた!」

「ハイ十分の遅刻だな。風紀委員には見つからなかったのか?」

「それが何か今日は居なくてなー・・・ん?ソイツ、転校生?」

「・・・黒陰刹那だ」

「俺は剣弥剣人だ。一応、俺、《勇者》の末裔なッ」


胸張って彼は言うが、《勇者》の末裔?

だとしたらそれは————。


ガタンッ


「・・・お前、また来てたのか・・・」

「登校して何が悪い」

「悪い!お前みたいな邪悪な奴がいると空気が汚れる!」

「・・・邪悪?」

「っと、彼はね、《魔王》の次期党首なんだよ」

「・・・《魔王》?」


《魔王》と《勇者》の末裔か・・・。

俺がボォッと考えていると担任が、


「あまり驚かないんだね?」

「・・・まぁ」


一応は、判ってたし。


「じゃあ、改めて自己紹介」


俺はチョークを手に、黒板に名前を書いた。




「俺は黒影刹那だ。これから、宜しく」




そういって俺は少し、不敵な笑みを造った。