複雑・ファジー小説

Re: 悪夢に喰われた現実 ( No.10 )
日時: 2011/08/10 22:07
名前: イカ飯 ◆7dc6rjLZUg (ID: 0M.9FvYj)




今日も特にも変哲のない時間を一日、陽也は送っていた。
ほのかな橙色の光が全てを包み込む。ちょうど学校が終わりグラウンドでは、
サッカー部のボカンっとボールを蹴る音、野球部のカキンッとノックする音。
陽也は小学時代、サッカーをやっていたらしいが今は帰宅部である。
ちょうど自転車に跨って校門の裏門を出るところで後ろからなにやら声が聞こえた。
陽也は腹が減っていたのを理由に敢えて空耳という事にしていこうとした。

しかし手遅れだ。

「こらあ!陽也、無視するなあぁあ!!」
「ぐばぁ!な……、何故俺に……飛び込みタックルを……!?」

陽也の背中に少女はロケットのようなタックルをお見舞いした。
陽也は勢い良くドミノのように前のめりに倒れた。
少女は陽也の背中に乗りながら、ごちゃごちゃ何か文句を放っていた。


「何で無視するの!?人が呼んでるのに!」
「ああ、秋乃か……。それにしては重い気が………、痛いっ!痛いって!」
「女子の前でそういう事は禁句!」


この少女の名は日立秋乃ひたちあきの。赤毛のセミロングで、陽也の少ない女友達であり幼馴染でもある。
元々、陽也は女子とあまり話さないので女友達がいるというのはおかしい。
陽也が話せる女子といえば、怒田、稲荷木、日立、その他数人程度である。



陽也は女子のデリカシーを気にせずに安易な発言をしたため、
秋乃にうつ伏せ馬乗りのまま左手首を右手で掴み、肩を押さえて逆に手首を持っていかれていた。
もちろん陽也の体には激痛が全身に走っていた。
しばらくして秋乃は馬乗りをやめて、陽也に手を貸した。
手を借りてゆっくりと陽也は起き上がった。
そして陽也は何事もなかったかのように用件を尋ねる。

「で、何か用か?」
「い、いや一緒に帰ろうって言おうとしただけだよ?」
「俺は別にいいけど」

そう答えると秋乃が帰る道の方へ手招きしていた。
そのジェスチャーに応じて秋乃の方へと向かった。


「今日も戦争あったね〜」
「そうだな……。誰かさんはメーカーの許可を取らずにアイスの名前を勝手に利用してたしな」
「?」


それから他愛無い雑談を歩きながら繰り広げていた。
しばらくして分かれ道があるところまで歩いてきた。
ちょうどこの道で帰路が分かれていたため、ここで二人は分かれた。

「じゃあな、また明日」
「また明日」

二人はそう告げてそれぞれ分かれ道を進んでいった。