複雑・ファジー小説
- Re: 悪夢に喰われた現実 ( No.12 )
- 日時: 2011/08/11 13:48
- 名前: イカ飯 ◆7dc6rjLZUg (ID: 0M.9FvYj)
- 参照: 追記:物語上敢えて、描写を書いてないところもあるのでご了承ください。
分かれ道を過ぎて住宅地に沿ってそよ風のように自転車をこいでいた。
陽也は自転車をこぎながら、一日のことをゆっくり思い返していた。
「今日は戦争があって、給食中のシャーベットの取り合いが勃発して、そして秋乃にプロレス技をお見舞いされたな……。けど、まあ今日もいつもどおりだったな」
そう平和そうにのんびりとした事を一人で呟いていた。
いつの間にか家まで約300メートルほどになっていた。
その300メートルで全力でペダルをこいだ。そして15秒前後で木造平屋の前に着いた。
自転車から降りて、小さな庭の倉庫に自転車を入れようとしたその時。
陽也は木造平屋の前に少女が倒れていることに気がついた。
風のようなさらさらな銀髪のロングヘアー。華奢で触れただけで崩れそうな体。
青く澄んでいる瞳。そして雪のような色をして緑色の宝石が埋めてあるワンピース。
まるで相当な職人が作った人形のようだった。
陽也はこんな少女を生まれて初めてみたので少し戸惑いを隠せない。
「何で俺ん家の前に……?」
陽也はとにかく心当たりがなかった。親戚にこんな子はいなかったし、
もし親戚じゃないとしても何故陽也の家の前にいるのかは謎だった。
とにかくまずは、特に傷があったり痙攣を起こしていた訳でもなさそうなので木造平屋の家の中へと運んだ。
まず広間にそっと少女を畳に置いて寝室に布団を敷いた。
そして少女を布団の上まで運んで、親が小6の時に送ってきた少し高級な羽毛布団をそっとかけた。
そして、作業が済むと陽也は台所へと向かった。
そこで竜がプリントされているエプロンを着けて改まった感じでこういった。
「さてと……、一応初対面だけど起きるまで見ててやんなきゃな」
そしてまな板、包丁、じゃがいもやにんじん等の材料を用意して何かを作り始めた。
その頃、朝っぱらの不良達はぶつぶつ愚痴を言いながら夜の公園で屯っていた。
あの時は超ノリノリだったものの、最終的にあんな状況になったため腹を立てていた。
「あー!あの坊主め、酷い目にあわせやがって……。ただじゃおかねえぞ」
「けど、どうするんです。学校に行ってもまたあいつらにやられますよ」
不良達は仕返しの方法をどうやら試行錯誤しているらしい。
しかしこれと言っていい案は出ず、時間だけが過ぎていた。
そんな時金髪で黒い執事の服を身のまとった青年が現れた。
青年は怪しい笑みを浮かべていた。その態度に不良達はいらつきを覚え、
思わず青年の胸倉へ飛びかかる。しかし青年は一切抵抗しなかった。
「おい、てめぇ。何、へらへらしてんだ?」
「………」
「質問してんだから答えろっつってんだろ!!」
不良は思わず堪忍袋の尾が切れて、力を込めて作った拳で殴りかかった。
青年はその拳を無表情で見ているだけで特に動きを見せなかった。
バンッ!と少し鈍い音がした。しかし不自然だ、もし顔面にミートしたのなら、
ドゴンッ!なんて音はしてもおかしくはなかった。
殴りかかった不良自身も何が起こったのかわからなかった。
すると手の甲から何だか少し痛みを感じた。手の甲を見ると微妙に赤く腫れていた。
しかし、問題は手の甲が赤く腫れたことではなかった。
多分この傷を見てついさっき怪我したものだろうとわかる。
ただ、どうして今こんな怪我をしたのか。
殴りかかった後何が起こったのかもわからない。
よく見ると青年には傷一つない。どうしたらこうなるのか。
それすらまったくわからない。そんな状況だった。
「あー、君達ちょっといいかい?」
「なな、何だ……?」
「君達にお願いがあってね」
不良達はさっきの一件があって、厳重に青年を警戒していた。
青年は本当に顔色変えず、話を続けていた。
「君達恨みがある人いるでしょ?」
「ああ!確かにいるぜ、うぜえ坊主が」
「僕もその人に近くにいると思われる人に用があるんだけど……。僕がその恨んでいる人を倒せる力をあげるからちょっと銀髪の少女を捕まえてきてくれないかな?」
「もちろんいいぜ!お安い御用だ、ちゃっちゃと終わらせてやるよ」
不良は自分が利用されていることも知らずにその頼みごとを承諾してしまった。
