複雑・ファジー小説
- Re: 悪夢に喰われた現実 ( No.15 )
- 日時: 2011/08/12 17:23
- 名前: イカ飯 ◆7dc6rjLZUg (ID: 0M.9FvYj)
- 参照: ※微グロ注意。
「(くそっ、どーすりゃいい。まず武器が……、これなら)」
とっさに周りを見回した陽也が見つけたのは鉄パイプ。
一応一発一発の力は強いが、少し長くて使い勝手がいいとは言えない。
しかしこの他に武器になりそうなものがなかったため、鉄パイプを手に取った。
陽也が顔を上げると狼と化した不良が迫っていた。
陽也は考える前に鉄パイプで不良を思いっきり打っていた。
狼の状態であろうと少し顔がめり込んで血が飛び散っていた。
「ぐはぁああ!!」
「畜生、けど状況はまだ優勢だ!ぶっ殺せぇええ!」
そして次から次へと不良達が襲い掛かってくる。
鉄パイプを上手く利用して攻撃をいなしている。
しかし大人数を素人一人で相手にするなんてたちが悪いにも程がある。
「後ろもよく見ろよお、ハハハッ!」
「くそっ!けどやられるわけにはいかねえんだよ!」
後ろから襲い掛かってきた不良を上にいなして、すかさず鉄パイプで頭を捕えてアスファルトに叩きつける。
その不良はその攻撃を受けて気絶していた。
一応二人蹴散らしたもののまだ7人も残っていた。
陽也も腕力が人並みしかないため鉄パイプを連続で操るのは困難だった。
それでも頑張って何とか敵をなぎ払っていた。
しかし腕に疲れもあるのためかうまく致命傷を与えられない。
さらに相手は狼と化しているので動きが早く防戦一方になっていた。
この状況だといつまで持つかが分からない、しかし今ここでやられてしまったらアリスが捕まってしまう。
「ボーっとしてんじゃねえよ!」
「(!?しまった!)」
不意を突かれた、陽也が試行錯誤をしているところで正面から攻撃してきた。
陽也はバックステップして避けようとした。が、間に合わなかった。
狼のその鋭い刀のような爪で腹を抉られた。
Yシャツが見る見るうちに血の色に染まっていった。
「がはっ………?!」
「ははは!やられちまったぞ、こいつッ!」
思わず倒れてしまいそうだった。
意識が断たれそうなぐらいの激痛が全身に走っていた。
しかし。
ここで倒れたらゲームオーバーだ。もう取り返しが付かなくなる。
そう思って体に力を入れて立ち上がろうとした。
その時、全身に痛覚を忘れるぐらいの痛みが走った。
「ああぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!」
「愉快だなぁ!もっとやらせろよ、俺はまだ気が晴れてねえんだよ!おい!」
負けるわけにはいかない、しかしその思いだけでは力が足りなかった。
プチッ————————————。
今、最悪のタイミングで意識が断たれてしまった。