複雑・ファジー小説

Re: 悪夢に喰われた現実 第一章 ( No.2 )
日時: 2011/08/06 14:18
名前: イカ飯 ◆7dc6rjLZUg (ID: 0M.9FvYj)



一人の少年がまるで無重力かのように一面が真っ白で目がちかちかしそうな場所に浮かんでいた。
彼は目を閉じて静かに眠っていた。しかし何処からともなく聞こえてくる声を耳で感じ取ったらしく、目をパチリと開ける。

「———————————よお、俺の器」
「てめえ誰だっ!いるんなら出て来い!!でもってこの状況を説明しろ!」
「まあ焦るなって。俺は夢喰い……、でいいか」

突然理解不能な状況に少年は置かれた為か焦って用件を一気に押し付ける。
それに対して謎の声の持ち主は恐ろしいぐらいマイペースで、
その独特の雰囲気に飲み込まれてしまいそうだった。
しかし負けじと少年は口を開く。

「あのなあ、何で名前がてきとーなんだよっ!色々とおかしいぞ!?」
「特に名前はねえからだよ。虚構の夢の連中とか、創造主とかは夢喰いなんて呼んでるけど」
「……いきなり異世界に連れ込まれて、さらに変な説明を専門用語混じりで説明されててもわかんねえよ!」

少年はその気楽な態度に腹が立っているのか厳しい口調で夢喰いに接してる。
それでも夢喰いはその様子を目に留めることもなかった。
結局ほのぼのとした笑い声を夢喰いは上げている。
しばらくして少しだけ改まった声で少年に語りかける。




「もうそろそろ時間だ、夢から覚めるぞ。また後でお前とは出会うと思うからな」
「おっ、おい、マジで話がわからねえんだけど!?おい、おいってば」

少年は焦って夢喰いに喋りかけるがもう遅かった。
夢喰いの言っていた夢から覚めるという事の前兆なのか、
一面真っ白だった不思議な世界が黒いペンキに塗られてゆくように黒くなっている。
そしていつの間にか何も周りが見えなかった。

そして少年は朝を迎える———。