複雑・ファジー小説
- Re: 悪夢に喰われた現実 オリキャラ募集しましょうか。 ( No.22 )
- 日時: 2011/08/14 14:06
- 名前: イカ飯 ◆7dc6rjLZUg (ID: 0M.9FvYj)
「…………陽也?起きてよ、陽也………」
アリスは意識が途絶えた陽也の体をただゆさゆさと揺さぶっていた。
もちろん陽也は気を失っていたため、一向に起きる気配はなかった。
アリスも内心ではわかっていた。
陽也は極普通の一般人で夢の力を使う者に立ち向かってもこうなる事は。
それでも嬉しかったのだ、初対面なのにあんなに優しくしてもらえた事が。
そして夢の力を使う者から自分を守ろうとした陽也の勇姿を見て止めようとはしなかった。
だが、その結果がこれだ。自分を守ろうとして陽也はやられてしまった。
これは自分の責任だ、自分のせいで陽也はやられてしまった。
アリスは心の中でとにかく自分を責めていた。
その時、アリスの頬を何かが伝った。涙という悲しみの結晶が頬を伝っていたのだ。
狼から普通の人に戻った不良達はとにかく笑い転げていた。
「あーっはっは!愉快だなあ、なあ譲ちゃんよお?」
不良の一人はアリスの顔をヤンキー座りをしながら覗き込んだ。
悲しみと同時に怒りもこみ上げていたアリスは不良を鋭い目つきで睨んだ。
「おい、んだよその反抗的な目はぁぁぁああああ!!」
その反抗的な態度を見た不良は怒り狂ってもう一度狼と化して食い殺そうとした。
アリスは死をも覚悟した。しかし直前のところで狼は何故か吹っ飛んだ。
そしてよくわからないままで、髪をくしゃくしゃとされながら頭をなでられていた。
アリスは恐る恐る上を向いた。
アリスの目に映っていたもの。それは陽也だった。
「陽也っ………、よかった、生きてて………」
「悪いな、心配かけさせて」
「……!?何でまだ生きてやがる……!?」
「………あのな、人を勝手に死人扱いすんなよ。生きてることには生きてんだよ」
陽也は覚悟を決めてここへとまた戻ってきた。
未知の力からアリスを守るために。アリスは思わず歓喜の涙を流してしまった。
その様子を見て少し呆れ気味なため息をついてこういった。
「そんなんで泣くなよ、静かに見てろって。おい不良共」
「な、何だっ!?」
「お前等の攻撃、利子付けて返してやるよ」
その発言を聞いて激昂した不良達は一斉に爪を向けて襲い掛かる。
しかし陽也も狼と化した不良に対して真正面から向かってゆく。
本当に夢喰いの言ったとおり連携がなっていないなら死角や隙がいっぱいあるはずだ。
陽也はそこを狙って勢いで一人一人に『悪夢喰らい』を纏った右手で反撃しようというのだ。
ついでに何故力が右手にしかないかというと全身に注ぎ込むと陽也が暴走しかねないと、夢喰いが調節したらしい。
陽也は五感を研ぎ澄ませて相手の状況をしっかり確認した。
すると動きに統制がないため隙が有り余るぐらいあった。
それを確認した陽也は迷いなく不良達に突っ込んでいった。
そして右ストレートや裏拳を駆使して一発一発、全力を注いで拳を直撃させた。
一人だけ拳を外してしまったがそれ以外の喰らった奴等は脱力してがたんと膝から地面へ倒れこんでしまった。
「がはっ……、な、何だ……力が……………」
「この右手の『悪夢喰らい』つーのは夢の力を打ち消す力でよ、一人やり損ねたけどそれ以外の奴等は脱力してるだろ」
「畜生っ!けどつまり、その右手の攻撃を喰らわなければいいってわけだろ!?ならやられる前にやってやるぜぇええ!!」
一人残った不良が狼となった手を思いっきり引いて殴りかかろうとした。
そして陽也も拳をを固めて、不良の方へ向かっていった。
その間、不良に陽也はこう全身全霊で言い放った。
「そんなんだからいつまでも不良なんだろ。自分達の自己満足で仕返しなんてやってるから不良って呼ばれるんだろ。そんな考え、お前のくだらない夢をその力ごと俺が喰い尽くす!」
互いがすれ違いとなった、刹那の出来事でどちらが渾身の一撃を喰らったのかも全く分からなかった。
ここで倒れた。狼と化した不良がだんだんもとの姿に戻ってゆきながら、
膝からガクリと崩れ落ちた。