複雑・ファジー小説
- Re: 悪夢に喰われた現実 オリキャラ募集中。 キャラ絵等up。 ( No.24 )
- 日時: 2011/08/13 18:34
- 名前: イカ飯 ◆7dc6rjLZUg (ID: 0M.9FvYj)
戦場の跡にはただ沈黙が広がっていた。陽也も初めての奇想天外な出来事が終わりを告げたためか、
肩の力が一気に抜ける。まあ死と隣りあわせだったのだから無理はないだろう。
戦いが終わった後、アリスが陽也の方へ駆け寄ってきた。
今、事実を再認識して陽也は安堵した。こんな自分でも大切な人を守れたのだ。
「陽也………、何であんなに無理したの……?そんな傷まで負って………」
「…………………お前を守るためだよ。………、痛い痛いっ!そこさすんなくていい!があぁぁぁああー!」
アリスは心配そうな顔をして、ちょうど陽也が怪我している腹部を優しくさすった。
しかし、それは逆効果で陽也はあまりの痛さに雄たけびと同等の声量ぐらいで泣き叫んだ。
いつの間にかアリスは疲れていたのか眠りについていた。
平和が戻った。
しかしそれは束の間の平和だった。
するとそこで誰かが拍手する音が耳に入ってきた。
陽也は警戒してアリスを抱え、バッと後ろを振り向きバックステップで距離を取った。
そこにいたのは見たことのない金髪の童顔青年。陽也は警戒の色を一層強める。
「お見事だね、都部陽也くん」
「………誰だお前。何故俺を知っている」
軽く青年は笑みを浮かべて陽也を見つめていた。
しかしその笑顔の裏には深い闇があるような気がした。
青年はそのまま話を続けた。
「まあ名乗ってもらいたいなら名乗るけど……」
「そんなこと言ってないでさっさと名乗れ」
「僕は北風原デイビット(ならいはらデイビット)。一応日米のハーフ。そして『創造主』」
「!!」
デイビットは自己紹介に混じっていきなりとんでもない発言をした。
彼は自ら創造主と名乗った、いきなりすぎて動揺を隠せない。
デイビットは構わず口を動かし話を続けた。
「で、僕があの不良達に夢の力を与える薬を投与したんだけどね〜。やっぱり雑魚は雑魚だったね」
デイビットの目はいきなり冷たくなった。そして足元に寝転んでいた不良の鳩尾をガンッと蹴る。
力尽きた不良はあまりの痛みに無意識に苦しんでいた。
陽也はその様子を見ていられなくなってとっさにデイビットに殴りかかった。
しかし。
何が起こったかわからない。さっきまで視界が捕えていたデイビットがいつの間にか消えていた。
ふと後ろを見ると、デイビットが立っていた。
いつの間にあそこへ移動したのか、夢の力の効力なのか。
全く分からなかった。
「ついでにこれは単なる身のこなしであって夢の力ではないよ。そして今日はご挨拶だけだよ。あ、サービスで二ついい事教えてあげるよ。一つは僕は創造主で構成された組織に所属している事。もう一つはその女の子が創造主達に敵視されている存在で『不幸を呼ぶ悪夢』って呼ばれてるから手放したほうがいいよ。また今度会うときは君が死ぬ時だ。それじゃあ」
「おい待てよ、待てってば!!」
デイビットは逆方向へ歩いていったがふと目を離すともうそこにはいなかった。
とにかく陽也は弁当を持ち、アリスを負ぶって自宅へ戻り腹部に包帯を巻いて就寝した。
第一章 完。