複雑・ファジー小説
- Re: 悪夢に喰われた現実 参照100突破です。 ( No.37 )
- 日時: 2011/10/04 18:51
- 名前: イカ飯 ◆7dc6rjLZUg (ID: 0M.9FvYj)
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v
城野総合病院という大病院の部屋の一室でひとり佇んでいる者がいた。
それは昨夜腹を少し抉られた都部陽也という少年である。
夢見アリスという独りの少女を守るために不思議な力を使う者と戦いうを繰り広げ、
勝ったには勝ったものの腹が抉られるという重傷を負ってしまった。
まあ臓器には一切の異常もなく麻酔をして腹を縫ってもらった。
そして医師に数日間は安静にしなさいと釘を刺されそこから身動きも取れない状態である。
やろうと思えばやれるのだが医師はもし無断外出したら入院期間を延ばすと脅しにかけられていたから迂闊な行動は取れなかった。
「凄く暇になっちまったな……、何より昨日の反動がでかいしな。見舞いに来る奴はやっぱりいないよな」
「………陽也。……お見舞いに来たよ……」
見舞いに来る奴はいないと決め付けた矢先にアリスは病室のドアを開けていた。どうやらお見舞いに来たらしい。
予想を外して苦笑している陽也の元に小走りする。
近くまで寄ってくるとアリスは少しだけもじもじと恥ずかしがっていた。
陽也はどうしたとかそんな事を聞きたいわけだが、何だかまともな返答が来ないような気がしたので、
じっくりと様子を伺うことにした。よく見るとアリスは後ろに何かを持っている。
アリスの手元にあったのは小さなタンポポの花束。多分道端で摘んできたのだろう。
するとアリスはそっと花束を陽也に差し出してこう言い放った。
「ごめんね………。陽也をあんな事に巻き込んじゃって……、本当にごめんね……」
陽也はいきなりの謝罪に目は何度もパチクリさせる。
そしてアリスは罪悪感が心の奥からこみ上げてきて思わず涙をこぼしてしまう。
しかし陽也はアリスを責めるなんてことはしなかった。
陽也は黙ってアリスの髪をくしゃくしゃとして頭をなでる。
そして陽也は爽やかな笑みで自信気に言い放った。
「泣くなよ、別に巻き込んだとかじゃないし。俺が自分でやっただけの事だ」
「………………うん、ありがと………」
アリスは自分の目の周りに付いたままの雫を手でごしごしとよくふき取る。
そして少しぎこちなかったが陽也に柔らかく笑いかけた。
陽也もそれを察知してアリスに笑いかけた。
しばらくして陽也は少し青空が黒ずんできたのを見てこうアリスに放つ。
「おっと、アリス。もうそろそろ暗くなるし早く帰ったほうがいいぞ。また変なのが来るかもしれないしな」
「うん………、じゃあ戻るね……………」
と、その時誰かが病室のドアをノックする音が耳に入る。
夕暮れ時で騒音なども少ないためノックの音はすぐに聞き取れた。
そして誰かが叫んでいる声が聞こえる。もちろん陽也はその声の持ち主がすぐにわかった。
「おーい!!陽也ぁあ、入るぞ!」
「(隆太郎達か、なら問題な———————)」
その時気づいた。偶然だが危機的状況に気づいた。
それはどういう事かというとアリスの事を何も知らないで、
この状況で初対面となるとロリコンとか彼女とか愛z……はないか。
とにかく変な誤解を招いてしまうので小声で必死にアリスに指示を出す。
「(アリスっ!ベッドの下に身を隠せ、早く!)」
「うん………、わかった」
そう応答するともぞもぞとベッドの下に潜り込んだ。
そして完全に隠れたのを確認すると陽也は対面許可を出した。
「おい、入っていいぞー」
「お邪魔しまぁーすっ!」
隆太郎が大きな声を出して病室に入ろうとする。
しかし。これはあれか、幻想か。陽也がそう思うような光景が、
目の前には広がっていた。
「にゃあ」
「にゃ……にゃあ?」
そこに猫耳つけた秋乃と怒田がいたという光景が。
その時、緊急の心の防護壁を陽也は張っていた。