複雑・ファジー小説

Re: 悪夢に喰われた現実 参照200突破です。 ( No.42 )
日時: 2011/10/01 16:30
名前: イカ飯 ◆7dc6rjLZUg (ID: 0M.9FvYj)


今現在、病室にいるのは陽也、隆太郎、秋乃、稲荷木、怒田、西遊馬、若宮(後、アリス)の八人だった。

「で、これはどういうことだ。何の意図がある」
「いっいいいや、とっとっととくに意味はななないよ……?」

現在病室ではよくわからない取調べが行われている。
猫耳を付けて入ってくるのが何だか思考回路を停止させる事態となり、
一応数分で思考回路が正常に回り始めたのだが、
何だか色々と聞きたいことが山ほどあるという陽也の意見でこうなっていた。
ベッドの上であぐらを掻いて警察側の立場的ポジションにいる陽也はまず秋乃に事情聴取をしている。
対して容疑者側の立場的ポジションの秋乃はさっきの『にゃあ』というワンフレーズが、
恥ずかしすぎて顔がリンゴになっていた。ついでにその状況を陽也は気づいていない。


「まあ何か進展しないから後回しな、で。俺はこの若宮君をよく知らないんだけど……」
「ああ、俺は友達の友達のお見舞いに来ただけだし別におかしくないだろ」

結局他人だろ、と突っ込みを心の中で入れた。
まあ別に問題は無いし、むしろお見舞いが増えるのは嬉しい事だ。
なのでこれは一件落着とした。そして本題に戻る。


「で、えっと。誰が画策した、首謀者出て来い……!」
「「「「「こいつです」」」」」

と隆太郎達が生け贄に捧げたのは西遊馬だった。
しかし画策したのは本当に西遊馬だったので制裁が加わってもおかしくないのだが。
そして突然生け贄に捧げられて冷汗を掻いている西遊馬は目線を合わせたくなかったが、
ゆっくりと陽也と目線を合わせる、そして目の前では陽也は指をぽきぽき鳴らしている。
西遊馬は逃げようと思ったが、逃げようにも両腕を隆太郎と若宮に押さえられて逃げられない。

「えっ、えっとぉ、あの、その、俺はお前が喜ぶようn」
「そんなんで喜ぶかっ、アホ」

と、右フックを鳩尾にジャストミートさせる。
西遊馬は部屋の壁に直撃して何も言えず気絶した。
陽也は軽く溜め息を吐いた後、お見舞いに来てくれた隆太郎たちに礼を告げる。


「今日はありがとな、まあ週末か次の週の初めには復帰するから」
「別にいいって事よ、体は大事にしろよ。………ていうか何故お前は腹なんて抉られたんだ?」
「まあ、こっちの事情だよ」

陽也は隆太郎の疑問に対して真実を悟られぬようそっぽを向いて答えた。
そして皆が病室から出て行く中、そっと若宮は陽也にこんな事を耳打ちする。

「……おい、ちょっと話したいことがある」
「まあいいけど」


そして皆が気絶した西遊馬を連れて退室して病室が静まった頃に、
若宮は少しニヤっと笑って口を開き始めた。


「で、本題だ。お前の不思議な能力についてだが————————」
「!?っお前、何者だ」

陽也は突然『夢』についての話題を出してきた若宮に、
動揺が隠せなかった。そして瞬時に様々な疑問が浮かび上がる。
その姿を見て若宮は大きな声で笑った。すると何かを訴える目で若宮を睨みつける。
しかしそれにも動じないで口を開いた。


「心配するなよ、都部。俺は味方だからよ」
「は?」

陽也は若宮の言動に少し振り回されていた。





ついでにアリスはベッドの下に潜り込んだままだった。

「まだかな………、陽也」