複雑・ファジー小説
- Re: 悪夢に喰われた現実【第二章完結】オリキャラ随時募集。 ( No.45 )
- 日時: 2011/10/10 21:57
- 名前: イカ飯 ◆7dc6rjLZUg (ID: ZD9/Y1q1)
陽也はリズムのいいバラードの曲を口ずさみながら自転車を前に進ませる。
坂下との会話は凄く他愛のない感じでで陽也の中では楽しかったが、そこまで印象に残っていなかった
しかし。
唯一陽也の心には坂下の無表情な心だけがしっかりと刻まれていた。
陽也は結構お節介で人の事が放っておけないため少しだがそわそわと身を震わせている。
それでもその気持ちを普段は抑えているのでちょっとクールになっているらしい。
ともかく今は如何こう言っていても何も始まらないので一先ずコンビニへと進路を変えた。
しばらくしてコンビニに到着した時、陽也は見知った顔が目に入る。
整った顔立ちなのだが陽也からしてみれば性格に難がある少年であった。
何だか知らないが少年は週刊誌を読みながらニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべているのが陽也は気に喰わなかった。
まだ陽也の存在に気がついていないようなので遊び心で、
後ろから忍者の如く忍び足でその少年の背後へと近づいてゆく。
「にしあーすまっ。何読んでんだお前」
「………」
その少年は西遊馬といい、変態とニートが混ざった最終形態と陽也に言われている残念な美少年である。
西遊馬は一向にこっちに気を向けない、……というか本の内容に夢中になっていて全く陽也の事には気がついていないようだ。
陽也は今度は拳に力を込めて呼びかけと共にその拳を西遊馬の脳天に振り下ろした。
「にぃーしーあーすーまっ!!」
「ぐべらっ!……陽也?わわわっ、お前何やってんだ!?」
「朝の弁当買いに来たんだだよ、ていうかお前は何を読んでる?」
と、陽也はひょっこりと顔を出して本の中身を覗く。
その瞬間。陽也は何を思っただろう?答えは簡単だ。
変態。
当たり前だ。中一男児のくせにわざわざコスプレショーの宣伝なんか見るか?それもコンビニの雑誌で。
コスプレショーの日にちを見ると、どうやら開催は明日のようだ。多分西遊馬は何があってもこのイベントに行くだろう。
そう陽也は心の中で思っていた。
と、唐突なタイミングで予想外の一言が西遊馬の口から放たれた。
「あ、そうそう。陽也、一緒にアキバ行こうぜ」
「ぶ、ぶぶぅぅっ!?!?まさか俺に話を振ってくるなんて」
いきなりの一言に陽也は思いっきり噴いてしまった。
まさか俺を二次元に勧誘しようなんてと。陽也は少し冷静になり、
どうすればいいかを試行錯誤して考える。そしてその頭の中から一筋の光が導かれた。
陽也は堂々とした態度できっぱりとこう言い放った。
「無理だ!!!俺は……、二次元になんかに閉じこまれたくないぃいい!!」
「はあ!?……え、ちょ」
西遊馬は陽也を引きとめようとするがもう遅かったらしくコンビニの外で自転車に跨っていた。
そして一目散に自転車でやらなくてもいいような無駄な逃走を図る。
西遊馬は全くといっていいほど言葉が見つからずある意味で困惑していた。
「まあ………、いっか。あいつらに協力を要請すれば多分いつでも連れて行けるし」
と一度納得したような顔をして雑誌の中身へ目をやった。