複雑・ファジー小説
- Re: 【第三話】 神々の戦争記 【完結!!!】 ( No.161 )
- 日時: 2012/02/17 01:45
- 名前: はぜのき ◆BHXNrqi4GU (ID: /7f/X5fb)
- 参照: 明日、ついに悪夢が、終わる——
第四話 「コメディを取り戻すべく旅へと出かけよう」
いよいよ秋も終わりに近づいてきたが、それは同時に昇任試験が迫ってきていることも同時に伝える。
受験者——特に、合格すれば教育期間が終了する二等士達の気合もMAXに近づいてきた。
そんな中、五十嵐勇16歳オスは、訳の分からぬ腹痛に悩まされていた。
「しっ、死ぬ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!」
「またそれかよ、もう一週間だぞ? いい加減薬を飲め」
「い〜や〜だ〜〜〜〜〜!!」
腹部を押さえつけてベッドから這い出してきた勇を見て、試験対策本を読んでいた川島はため息をついた。
以前、腹が痛いと訴えていた勇に腹痛用の錠剤を渡したのだが、
「ムリムリ、粒ムリ、粉ムリ」と、意味不明なことをぬかして結局飲まなかった。
そしてその状態が一週間続いた、というわけである。
試験前だっていうのにこんなんで大丈夫か、と川島はつぶやきそうになったが、あぁそうか、
「ろくに勉強しないんだから変わらないか」
「ちょっと待て今なんつった——!?」
川島の呟きに敏感に反応した勇は、今までの苦しみはどこか遠くに飛んで行った様子で声を上げた。
「俺だってやればできるんだぜ!!」
そして勇は急いで机に向かうと、ホコリを被った問題集を引っ張り出し、開いて、眺めて、そして寝た。
あまりに早すぎるKOに、川島は再びため息をついた。最近こいつのせいでため息が多い。
川島は、しばらく問題集を読んでいたが、ふと何かを思って自分の机へと向かった。
引き出しの中から『試験範囲表』の冊子を取り出すと、すばやく一士昇任試験のページを開き、ざっと目を通した。
試験は筆記と実技の二つがあり、どの部に所属していようとどちらも受けなければならない。
つまり、総務部であろうと体力テストを行わなければならず、防衛部でも人事を理解していなければならない。
ただし、専門分野でない範囲は「浅く、広く」がモットーである為、さほど困難なことではない。
注目すべきはその配点だ。川島は冊子の後ろの方へページをめくった。
ズラリと並んだ表の中で防衛部を探しあてると、指でその先をなぞりながら読み通した。
防衛部
総務筆記、研究筆記、各50点満点
防衛筆記、100点満点
防衛実技、10段階評価 × 10科目、計100点満点
合計 300点満点
なお、実戦での成績等によって特別点が加算される
なるほど。筆記実技で合わせて300点。さらにそこに実戦の成績が加わるってことか。
合格ラインは250点程度だから……
川島は勇の成績を暗算で割り出した。
総務筆記:5点
研究筆記:5点
防衛筆記:40点
防衛実技:80点
合計:130点
——————————————————まずい。これは、まずい。
前代未聞の点数だ。いや、さすがに5点は行きすぎか?とりあえず模試でもさせてみるか……
川島は勇を叩き起こした。
むくっと顔を持ち上げた勇は、へろっとした目つきで突然歌いだした。
「いっちに〜のさんで〜め〜がさ〜めて〜〜」
「酔っ払いか」
川島は一蹴すると勇の机の上に紙の束を置いた。勇がしかめっ面をする。
「なんだコレ?」
「対策教本からとってきた模擬試験だ。今から90分、とりあえずやってみろ」
そういうと、川島は鍵を持って靴を履き、玄関のドアをガチャリと開けた。
「部屋からは出られないようにしておく。点数によっては殺すから念のため遺書でも書いとけ」
「えっ、ちょっまっ、え、川島———!?!?!?」
勇の叫びは、金属質のドアによってさえぎられ、川島はガチャリと鍵をかけた。
鍵はつけっぱなしにしておくので、中からは開けられない。川島は口笛を吹きながら共同スペースへと向かった。