複雑・ファジー小説
- Re: 【オリキャラ】神々の戦争記【募集中です】 ( No.79 )
- 日時: 2011/11/27 02:06
- 名前: 海底2m (ID: B8PJVqz2)
第三話 「たかが幻、されど幻。彼の瞳もいつも幻(殴」
勇がいつも通りの活気とバカを取り戻して約一か月が過ぎた。
いよいよネクラフにも秋が訪れ、窓から眺める紅葉がかなり美しい。
訓練期間終了まで残り一か月近くを切った。無論、昇任試験に合格すれば、だが。
「ちっくしょ———ッ!全くわからんッ」
「おいおい、まだ問題集3ページ目だぞ?ここで躓いてたら次の試験は無理だな」
「いーや————!!!」
昼食が終わった昼休み。フリースペースで試験対策の問題集に取り組んでいた勇と川島だったが、
案の定10分と持たずに勇はお手上げした。
「川島、次の春に一緒に受けよう。なっ!なっ!!!」
「嫌だよ、俺は次受けるからな」
ケチーっと舌をべーっと出した勇は、再び問題集とにらめっこを始めるも、すぐにうつ伏せになる。
こりゃ駄目だ、と川島がため息をついた時、桐山が向こうを通り過ぎて行くのが目に入った。
桐山がちらりとこちらを向き、目があった瞬間、桐山はこちらに向かって猛突進してきた。
「よーーっ!、川島と五十嵐じゃーん!何してんの〜?」
相変わらずのハイテンションぶりである。
「見なきゃよかった」
川島は本気で、本気でそう後悔した。
勇が煩わしそうに口を開く。
「試験勉強だよ、こっちは真面目にやってんだ。邪魔だからあっち行ってろ!」
「おいおい、そういうお前はさっきまで寝てただろ。てか桐山は大丈夫なのかよ」
「ん?ぜーん然っ☆『ゴツン』って痛ったぁ!なんで殴るわけ?!」
かくして、川島による、桐山と勇の試験対策が始まった。
開始早々、川島がバシリと勇の問題集に指を突きつけた。
「違う、交番と支部間の通信は緊急時以外は内部回線668A番。119番は消防車だアホ」
「あ、アホってなんだよ!大体桐山が——」
「はぁ?!なんであたしのせいにすんの!? あたしはちゃんと110番だって——」
はぁ、と川島はため息をついた。
こんなんで本当にこの二人は大丈夫なのだろうか。少なくとも曹に上がるころには還暦を迎えるだろう。
と、そんなことを考えている時——
『総務部通信科より入電。東防壁エリア周辺に多数のキザラビスタを確認。
防衛部長及び各部隊長は至急第三会議室に——』
「またキザラビスタかよー」
勇はため息交じりに頬杖をついた。胸倉は桐山に掴まれている。
「最近多いよねー。この時期は行動が活発になるんだってー」
「まぁ、一士に上がるまでは出動はお預けだな」
と川島が言ったその時だった。
『防衛部第一部隊より入電。第一部隊全班員は至急正面玄関まで——』
桐山はニッと笑って川島の肩をつついた。
「偉そうなこと言って間違ってんじゃねぇかよ」と勇もつんつんつつく。
川島は何も言わなかった。