複雑・ファジー小説
- #01 - 過去の絆 ( No.10 )
- 日時: 2011/09/23 09:42
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: V9u1HFiP)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode
流の部屋に付いた。僕は真っ暗な部屋の電気を付ける。
——何かが倒れていた。何だろうこれ。さっき行った時は居なかった筈だけど。
近付いて見てみると、ぐったりとしている人の姿。体のライン的に多分女の人。青白い肌に、青のかかった黒いおかっぱの髪。水色の着物に青帯。どう見ても和風、と言うか一昔前の人と言うか、とにかく妖しい。それでいて綺麗な人だった。妖艶。その言葉に限る。
とりあえず流の言う通りクーラーを付ける。ウイーン、とクーラーが動く音(クーラーは昔の製品だった筈)がしてから僕は朝に起きて放っておいたままの睡眠セットを畳んで、この部屋にある唯一の収納家具、クローゼットに片付けて流の天蓋付きベッドにダイブする。そしてゴロゴロと動き回ってから妖しい人の方を観察してみる。
数分後、涼しくなって来た頃にその妖しい女の人はもそもそと動いた。え、ちょっと怖い。ゾンビ? その妖しいゾンビはもそもそもそもそと、虫の様な動きをしたままでこっちに来た。
「ちょっ待って、怖い怖い怖い怖い!」
ホラー映画を見てる気分だ。むしろ僕がホラー映画の主人公である。ホラーとかそんなの嫌いなんだよ、怖いし。ベッドから落ちそうな所で僕が留まっていた所で、部屋のドアが開いた。
「死んではない様だけど……強姦魔として警察に突き出される様ね。流石だわ」
「違うって! これ見て強姦されてると誰が思うの!? 逆に襲われてるよ!」
流に勘違いされた。流石とか言われてもやってねえよ。全て僕に乗っかってきてる女のせいだ。
——て言うか、さっきの強姦魔ってそういう事かよ! でも殺人犯の意図はよく分からないな。あれは確実にネタとか? いや、でも流は僕とゾンビさんを見た際に「死んではない様だけど」と確かに口にした。思い出せ、クーラーを付けてからコイツはもそもそ動き出したな……。コイツが有り得ない『客』だとすれば…………。
「艶術士様!」
僕に乗っかって威嚇をしていた女の人は、まるで犬の様に流に飛んで行って——抱きついた。