複雑・ファジー小説
- #01 - 過去の絆 ( No.11 )
- 日時: 2011/09/23 09:43
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: V9u1HFiP)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode
「えん、じゅつしぃ? 何だよそりゃ」
「何お前、艶術士様に近付くな」
何でそんなに態度違うの? 何で僕今その綺麗な手にくっついてる青い爪を喉に向けられてるの? 何でそんなに爪長いの? 何でそんなに鋭い爪なの? 色々気になるがとりあえずその爪が喉に刺さったら死ぬわ。殺人犯の疑いかけられる前に殺されるわ。
「まあまあ、落ち着きなさい舞雪。お互いに紹介だけど、アンタが今刺そうとしてるのは雑用の零よ」
「刺そうとしてるって止めろよ!」
「大丈夫よ、寸前で止めてあげるわ」
「心臓に悪すぎる!」
流といつも通りの会話をしていると、何だかぐさぐさと殺気っぽい物が背中に向けられている気がした。何だか、死亡フラグ立ちそうで怖いな……。まあ流が僕を捨てない内は大丈夫だろう。……おそらく。守ってくれるか不安だなあ。
「艶術士様、コイツぶち殺してもいいですか?」
「いや何で!? 何があった!?」
舞雪とか言った人の殺気が見えた。彼女は殺人と言う行為を行おうとしていた。銃まで手にして攻撃姿勢に入っている。僕逃げないと駄目だ。僕超逃げて。
「駄目よ。まずは紹介なさい」
流が何とか舞雪さんを制止して、促す。舞雪さんは犬の様に落ち込み、そしてまた顔を上げて僕と目を合わせる。ただし僕に対する嫌悪感が見えている。と言うよりそれしか見えない。
「名前は舞雪。雪女。好きな人は艶術士様一人。嫌いな奴はお前」
指を指されて強く言い放った。僕が何をした。
それにしても、雪女か……。まあここには色んな奴が来るから今更驚きはしないけど、成程。じゃあ舞雪さんが死にかけだったのは暑いのに僕がクーラー消したからだったんだな。ふーん納得。だから殺人犯とか言ったのか、只の冗談かと思ってたよ。ふーん。
「じゃねえ! 何でお前教えなかったんだよ! 僕殺人犯になりかけだったじゃねえか!」
「あら、私はちゃんと言ったわよ。ほら、強姦魔にも殺人犯にもならなかったじゃない。まあその代わり嫌われちゃったけどね」
「お前がもっと早く言ってれば僕も嫌われなかっただろうよ! ……え、ていうか僕が嫌われた原因ってそれ?」
「少なくとも、ちょっとは関係してると思うわよ。後早く言えって言うけれど、私達が会ったのはあなたがクーラーを消した後でしょ?」
——い、言われてみればそうだったーっ!
僕が流を責めてもあんまり関係なかった。むしろ流じゃなくて僕が主に害を与えていたのだった。すまない舞雪さん。
僕は心の中で謝ったが、相変わらず舞雪さんは不機嫌そうに顔をしかめて僕を睨んでいた。可愛い顔が台無しだ。