複雑・ファジー小説
- #02 - 結びなおす糸 ( No.25 )
- 日時: 2011/09/24 08:03
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: V9u1HFiP)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode
急に眠気がして、僕はその場で眠った筈なのだが、はて、どうしたものか。
僕が目を開けると、そこは流のベッドの上ではなく、綺麗に整えられた和風庭園だった。色とりどりの花が咲いている庭に僕は足をつけ、ちゃんと立っていた。
うーん、夢だろうか。じゃあ僕は何をしても痛くないかな。いや、僕が何をしても痛くないのは元からだったりしてー! と女子高生の口調を真似してみた。空しいのは仕様。
体を動かしてみる。うん、どこにも異常がないのは当たり前だ。
とりあえず、じっとしていても現状は変わらないので、動き回ってみる事にした。
庭から普通に入れる家に、許可も取らずにお邪魔する。ただ歩いていると、正面から歩いてきた舞雪さんが、驚いた様子で僕を見ていた。
「お前……」
「やっぱ一緒だったんですか。ところで、ここはどこですか?」
「お前に教えたくない」
ふい、と背を向けて僕を質問を無視して歩いていった。僕は、この家の事は全く分からないから、文句を言われない様に後からこそこそと舞雪さんについていく。ストーカーの気持ちだ。
舞雪さんが気配を察知して後ろをちょこちょこ振り向いてくる。その度に僕は何かに隠れて危機を免れる。
しかし、こういう事はよくあるだろう。例えば隠れる物がなくて見つかった時、どうしようとうろたえる時。今がまさにそういう時だった。舞雪さんは白けた目でこちらをずっと凝視している。
僕は心が抉られる様な、変な気持ちを持ちながら、何とか言い訳を探す。……言い訳なんて、ないよなあ。
僕が困っていると、舞雪さんは僕を無視した。と言うか、視界から僕を振り払ったんだと思う。何て嫌われようだ。
その後は僕の方を振り向く事なく、舞雪さんは歩いていった。怒っているのか、そんな事は分からないけど、どちらにしろ気分を悪くしたなら申し訳ない、と罪悪感が湧き出るが、普通に振り向かない方が歩きやすい。まあ、一度見られたからどうせ見られてもいいんだけど。
どうでもいい事を考えながら歩いていたら、舞雪さんがとある部屋の前で立ち止まっていた。