複雑・ファジー小説
- Re: DARK GAME=邪悪なゲーム= ( No.1 )
- 日時: 2011/09/21 18:12
- 名前: 狒牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: Jagfnb7H)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode
二話目 第一のげえむ
気が付いた時にはさっきいた場所と全く同じ場所に楓と竹永は降り立っていた。
ある一点を除けばさっきと一切が変わらない。その唯一違うところとは・・・
「人!なんでこんな増えてんの!」
そう、人の数だ。さっきまで家の周りには自分たち二人以外一人たりともそこにはいなかった。
それが、なにか暗闇に取り込まれ、訳のわからぬまま揉まれて出てきたときには大勢の人がそこに集結していた。
はっきり言う。知り合いが一人たりともいない。関西弁で話す奴、博多弁で騒ぐ奴、英語でまくしたてる奴など、色々な輩がいる。おそらくこれは世界の色々なところから集められてきたのだろう。
だとすると一つ不可解な点がある。転送された位置だ。自分たち二人は闇に包まれた位置そのままで現れたのに対し、ここにいる連中はきっと場所をも越えて来たんだろう。
なぜ自分がこんな状況下でこんなに冷静にいられるのかも気がかりなのだが、それ以上に気になることは、ここはどこかということ。そして、これの主催者はどこで何をしているかということ。
「諸君、こんばんは」
テレビなどでありふれた変声機越しの機械音が突然天空から聞こえてきた。もちろんのことこれでは男とも女とも取れない。
現状について相談しようとしたとき、ようやく思い出したことがある。俺は確かに異常なまでに落ち着いている、でも先輩はどうだろうか。この現状で慌てていない方がどうかしている。少しでも動揺をとりのぞ・・
「おー、変声機ってあんな感じなんだー」
「・・・・・素晴らしい肝の座りようですね」
心配するまでもなかったようだ。やっぱり大きい大会に出る人は度胸の座り方が違う。緊張は一般人よりも感じ慣れているせいか普通の人間にとって慌てるところでも、さも当然のように落ち着いている。
ここで最初の疑問を思い出す。自分たち以外のみんなはどのタイミングにここに、どうやって来たかだ。
考え方はいくつかある。遠い人から順番にこっちに転送されて個人でここに来たか、招待状にワープのような装置や働きが組み込まれており、一気に八時にここに転送したかだ。
両方おおよそ日常の会話からはかけ離れているが、それでも常識というものを共に従えて考えるならば後者の方が適切だろう。なぜなら、都市伝説が正しいのならここは裏側の世界。電車どころか街角の自動車一つ動かない。そんな中で外国の者が来れる訳が無い。
「まず、ここの説明をするよ。ここは関東にある闇戯町(やみぎちょう)という町でね、そこそこいいところなんだよ。開催地に選ばれた土地の人間にはペアチケットを渡すんだ。そして現地時間の午後八時に世界中の人間を一斉に転送する。ああ、みんな気にしなくていいよ。ここではみんな勝手に日本語が理解できるようになっているから会話はできる。じゃあ、第一の種目だよ」
やはり、後者の方が正しかったという訳だ。しかし、これは都市伝説が実在していることになる。
その場合、やはり残酷な『げえむ』も存在するということだ。できれば、自分の得意なものが当たって欲しいと強く願う。そう願ったのが叶った・・・とは言い難いが拍子抜けするような回答が返ってきた。
「第一げえむ、鬼ごっこ〜」
「・・・・・ハァ?・・・・・」
残酷と聞いていた割にあまりの幼稚さに目が点になる。しかも、楓達二人は両方陸上部、まず大丈夫だろう。
そういう風に歓喜していると横のおっさんが空に向かって怒鳴った。
「げえむとは何だ!勝利したら何かあるとでも言うのか!」
エリートコースを歩いていそうな誠実そうな、清潔な人間だった。メガネをかけて終始ムスッとしている。
確かに、この人の言うことももっともだと思う。誰だか分からない人間の思いつきで変なゲームに挑戦して時間を潰されてはたまらない。
「勝利して与えられるもの、それは強さだ」
「強さ・・・だと?」
「ああ、このげえむに生き残るには相当に色々な実力がいるんだ。体力はもちろん、知力もね。でも負けたら死あるのみだよ。最大のプレゼントは生きて帰れることだよ。じゃあ、詳しいルール説明行くよ。まず鬼の方々はこの方々だよ」
空がスクリーンのようになって何か棒のようなものが大量に立ち並んでいるのが見える。よく見ると、それは武装した骸骨の兵団だった。
迷彩柄の服に身を包み、規則正しく行進している。
「この子達から24時間逃げ切ったらクリア。それで、一個楽しいルールがあるんだ」
天空の声は勿体付けながらそう笑いながら言葉を発した。
「建物の中には固有のルールがあるんだ。その建物の中で、しちゃいけないことをすると鬼も逃げる人も死んじゃうんだ。逆に、しないといけないことをしなくても終わりだよ。ルールは建物によって違うから自分で考えてね。そして、同じ建物にこもれるのは通算三十分までなんだ」
要するに、言いたいことは分かった。腹が減ったからと言って人がいないのをいいことに万引きをしてはいけなかったり、学校に隠れたからといって、勉強せずにのうのうと時間を潰してはいけないということだ。
「じゃ、もういいよね。第一げえむ・・・」
—————スタート!!
続きます
