複雑・ファジー小説

Re: DARK GAME=邪悪なゲーム=  鬼ごっこ編第十三話更新 ( No.17 )
日時: 2011/09/03 09:48
名前: 狒牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: lv59jgSm)

第十四話 each side






楓と別れてから、数時間が経過した。楠城、竹永、氷室は三人で逃げていた。それからの鬼からの逃走劇はかなり容易だった。楓や天の声が言う通り、上手くおびき寄せることができる。別にルールを使って消す必要は無い。適当にロープなんかを活用し、罠を張っておけば良い。ロープは適当に探したら見つかった。正確には、たった一つだけルールが無く、何分でも滞在してもよい空間があったのだ。

「でも、確かにあそこぐらい自由に使えないと終わりよね」

ふと、竹永が言葉を漏らす。唯一ルールに感知されない空間、それはコンビニエンスストアだった。この世界でも、腹は減るし喉も乾く。他にも必要なものが色々と出てくるだろうということで、コンビニだけが生き残っていたのだ。しかし、鬼にもその恐るべきルールが適用されない空間、という決まりは生き、そこで襲われたら袋小路になっているので、細心の注意を払わないといけない。しかし、竹永はこの辺りに住んでいる以上、鬼が来てもすぐに分かるほどの大通りに面しているコンビニの場所を知っていた。そこから、ヘッドライトや食料、電池などを失敬してきたのだ。

「さて・・・楓秀也はどうなったのかしら?」

チラッと氷室が道端の時計を見る。十一時五十分ぐらいの時間を示している。楓が消えた直後に天の声は言っていた。クリアしようとしまいと、十二時に生存者はげえむ会場に戻ってくると。しかし、生き残っていてもみにげえむにクリアしていなかったら、その後のげえむ難易度は格段に跳ね上がる。これは、楓や自分たちだけでなく、参加者全員の死活問題なのだ。そう考えていたら、まだ十二時になっていないというのに、いきなり五発の花火が上がった。黄色、オレンジ、紫、藍色、緑の五発の炎が芸術的に炸裂する。一つ一つがアルファベットを表わしていた。


———C,L,E,A,Rと


その花火に対して、歓喜の声があちらこちらで上がる。ひとまず、三人はほっと息を吐いた。鬼どうこうではなく、楓が無事であることについて、だ。十分と経たぬうちに楓たちはこっちに戻ってくるだろう。

「さあ、六時に学校に行くわよ」










「帰って・・・きた」

秀也が現れた場所は、げえむが開始されたその場所だった。一旦吸い込まれたところではなく、スタート位置。不味い、先輩たちから大分離されてしまった。学校は空港よりかなり先にある。さあて、無事にたどり着けるかどうか・・・

「あの〜」

そういう風に考えていた時のことだ。後ろから声が聞こえた。聞き覚えのある声だったのですぐに後ろを振り向いた。そこにはあの、本来なら四番目にコイントスをするはずだった女性がいた。だとしたら、もう一人の男の人もいるだろうと考えたが、そこにはもういなかった。遠くでよろよろと歩く人影が見えた。あの焦りまくりの姿は確かにあの人だろう。動けるなら大丈夫そうだ。ひとまずそっちは放っておくことにした。目の前にいる方の女性に応答する。

「はい、何ですか?」
「賢いんですね。どうです、一緒に行動してくれませんか?」

どうしようか、それが秀也の感想だった。見た感じ、普通のOLだ。最初に空港まで走った時は体育科のそれなりに体力のある叶と、成人の男性である楠城だったのだが、ただの女の人に自分の足に着いて来られるかが心配だ。九割無理だと思う。いざとなった時にこの人はやむを得ず走り出す自分に着いて来られるのだろうか・・・って訊くまでもないということに今気付いた。目の前にいたのは、昨年の大阪女子マラソンの若き優勝者と謳われた斎藤選手だった。ああ、自分の方が置いていかれそうだ。ふと、そう考えてしまった。





                                 続きます



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斎藤選手の下の名前?考えてないよ、まだ

次回一気に時間が飛ぶことを予告します、大体四時間ぐらい

合流予定時刻まで後二時間ってぐらいですね

焦るおっさんは今のところ再登場の見込みは無いです

では、次回に続きます。今回いつもより少し短いけど