複雑・ファジー小説
- Re: DARK GAME=邪悪なゲーム= 第二十話更新 使者登場 ( No.27 )
- 日時: 2011/09/24 19:49
- 名前: 狒牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: ybb2RaRu)
第二十一話 楓&氷室VSジール・・・みたいな?
とりあえず走る、ジールが追って来てまた彼の視界に入らないように。今度はさっき自分の言った通り手下の鬼どもを従えてやって来るだろうと楓は思っていた。さっきの会話は挨拶代わり。礼儀正しいと言えば聞こえは良いが、一対戦相手と見ると甘すぎる。
事実彼は会話をすることで完全に油断しきっていて、みすみす氷室に隙を作りだされることになっていた。水道管を撃ち抜かれたことに対してすぐに反応しなかった上にその後の動揺もかなりのもの。おそらく彼はそれほど頭の回らない存在。
そういう風な予想を立てたが、ちょっと失礼かなと楓は思い直した。仮にも天の声が知性ある将軍と言っているのだ。それなりに回るのかもしれない。
しかしだ、もし仮にほんの少し慎重性を付け足す程度だったなら恐るるに足らない。
楓たちはZに近い称号を持つ者の方が格下に近いという事実を知らないのだから分からないのだが、最下層に位置するジールは本当に知恵が回らなかった。ただただ熱い性格。
人情味溢れると言った方が正しいかもしれないが、彼はこの手のげえむには全く向いていない。
そのことを確かに楓たちは知らなかったが、二人とも薄々予想はしている。だから簡単な手に引っ掛かるのではないかと、今倒すために下準備をしているところだ。とは言っても、とあるものをコンビニやスーパーで探しているだけなのだが。
コンビニ同様に一軒だけルールの適用しないスーパーマーケットがあった。
ここにならあるかもしれないと、楓はお望みの物を探していたのだ。コンビニでももしかしたら売っているかもしれないが、コンビニで売るには少しばかり危なっかしい。
「あったわよ、楓秀也」
同じ棚の辺りを調べていた氷室が目的のものはきっちりと発見したと楓に呼び掛ける。ありがとう、とでも言うように軽く会釈する。それを見た氷室はほんの少し勝ち誇ったような気分になった。
それが顔つきにも滲み出ていたのだろう。微笑を浮かべながらその瓶を楓に差し出した氷室に、何かの違和感を楓は感じた。それについて言及するように言葉を返す。
「何だか機嫌が良いな。そんな風に若干笑っているなんて」
指摘された彼女はすぐ隣のガラスが張ってある壁に目を向けて確認する。確かに、楓の言うとおり笑みのようなものが浮かんでいる。急いでそれを打ち消して、険悪そうな顔つきを作りだす。
「当然でしょ、これでさっきの馬鹿野郎を何とかできるんだから」
確かにあの後楓は氷室の愚痴を延々と聞かされていた。ああいう風に何を言うにも五月蠅く話すような輩は苦手を通り越して大っ嫌いだと復唱していた。話すだけでイライラが募るとも言っていたほどだ。
それでも、女性が他人に向かって馬鹿野郎は無いだろうと、苦笑と複雑な溜息を漏らして彼はほとんど聞き流していた。そんなこんなと彼の性格上、その程度の事だろうと思いその話題はそこで放棄した。
入ってこられたら袋の鼠となるので、一旦スーパーから脱出する。普段だったら数え切れぬほど大勢の人に埋め尽くされる便利な店も、こちら側では閑散としていて、とても寂しげだった。
外の様子を見る限り近くに鬼がいそうな気配は無い。念のため、氷室も耳を頼りにして音を探索してみたがその面から考慮しても大丈夫そうだった。
「さあ、行くぞ。目的地はこのすぐ近くだ」
あんたが仕切るんじゃ無いと、傲慢そうに息を吐いて氷室は外に出た。お前道分からないだろう、と楓も急いで駆け出した。言っても氷室は体力面は大したことないので、すぐに前に立つ。
そのまま、目的地のある場所へと向けて道を左へと曲がる。そしてもう一つ考える。どうやってジールをおびき出そうかと。
さっきからまだ二十分程度しか経っていないのでそれほど遠くまでは絶対に行っていないはず。それならば、花火のように分かりやすいアピールをしてやってもいいのだが、花火なんて扱える訳が無く、その上そんなことを本当にしたら時間差で次々と鬼がやって来るだろう。
今から取ろうとしている策もかなり派手で目立つので、それ以外の連中にはまだ近くに来てほしくない。
とするとやっぱり辺りをしらみつぶしにするしかないのだが、そんなことをして目的地から離れてしまったら本末転倒だ。今の課題は一つだ。どうやってジールをおびき寄せるかの一言に尽きる。
「やっぱり、適当に走り回って行った方がいいか?それとも妙案あるか?」
冗談を抜きとして本当に楓に策は浮かんでいないのだろう。目を離したら長考してしまいそうなほどだ。まどろっこしいことが大嫌いな氷室はある種最悪の方法を取った。
「ジ————ル!出てきなさい!」
四方八方に向かって氷室はそう叫んだ。楓はあまりにもなずさんな方法に、開いた口が塞がらずに目が点になっている。
「お前・・・度胸があるのか?馬鹿なのか?」
続きます
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題名に反して顔を合わせていません。
次回、闘うと思っちゃってください。
闘うって言っても肉弾戦じゃないよ!?
だって闘いたかったらもう一作の方を書くから。