複雑・ファジー小説

Re: DARK GAME=邪悪なゲーム=  第三十一話更新  ( No.50 )
日時: 2011/10/25 15:59
名前: 狒牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: OGmuT4jt)

第三十二話 イグザム撤去完了









「さすがだね・・・まさかそう来た?」

 マンホールから下に降りた後にいきなり、穴から刺し込む光が遮られた。さっきまでうっすらと光が射しこんでいた世界がいきなり闇に包まれて無明となる。
 さっき自分は楓は下に降りたと予測し、その予測には信憑性があると自身を持って中に入ったはずだった。しかし、楓はその予想を大きく裏切って、中には入っていなかった。中に入っていないどころかどこにも逃げてはいなかった。

「マンホールに気付いても良し、気付かなくても良しだったって訳なんだね」

 気付かずに真っ直ぐ進んでも、どのみち反対方向に引き返すだけで済む話だった。それでいて気付いた場合はこのように入り口を塞げば幹部である自分を無力化できるしな・・・と残念そうに肩を落とした。
 ただ入口を塞がれただけだったら外せばいいのだが、もうすでにとっくに下に降りてしまっているので、上に戻るにはまず手を引っ掛ける取っ手を探さないといけないのだが、それがこう真っ暗だと見つからない。しかもイグザムの身長は知ってのとおりの低さだ。跳躍力も大したことが無い上にこんなゴツゴツ武装した骸骨に持ち上げられると何かの拍子に武器が刺さるかも、と抵抗が隠せずにいた。

「ま、いっかこのまま闘ってミスって死んだらもう楽しめないしね。僕はこの辺でサボらしてもらおっと」

 後はイクスに任せた、だって冗談抜きでここから出れないもんね、漫画ならば最後に音符が付きそうな口調で最後にそういう風に付けたして壁にもたれかかった。歩きまわって溝にハマりたくない。
 ま、今日のところは中々楽しかったから次こそちゃんと楽しんで闘えるようにしようと、アダムの使者と一緒にいる時には見せないような笑顔でニヤニヤと笑っていた。
 強敵が現れた高揚感と期待に胸膨らむ期待感、先が待ちきれないように無邪気に待とうとするその様子は、幼い子供のようにしか見えなかった。

「ていうかここ臭いんだけど?やっぱり出たくなってきたな」

 これでイクスがやられちゃったら、もう鬼はいなくなるんじゃない?そう天井に向かって言ってみたが案の定彼の父親にその声は届いていなかった。
 バカ親父め・・・そう呟く時だけ彼の顔から笑顔は消え失せてこの世に絶望したような恐ろしげな表情を浮かべていた。今回で楓が生き延びようが僕の知ったことじゃあないしと付け加える時にはいつも通りに戻っていた。





「どこだぁァっ!楓秀也、氷室冷河、竹永叶斎藤麗華楠城怜司ィぃっ!!制裁だ制裁だ制裁だ制裁だ!!!我が仲間<とも>を殺したその罪万死に値する。貴様らの命など我らアダムの使者にとって要らぬものに過ぎんというのにっ!!なぜ貴様らはそうまでして地上にはびこる!?ブラフマーもオーディンも須佐乃袁尊も、全て、自身が何かの自覚を忘れていたのか!!」

 周囲の物何もかもを破壊しながら突き進んでいるのは暴走する骸骨の見かけをした一人の何か。骨しかないのだから生物ではないのだが、確かにそこに石は存在していた。
 そんな彼は空に怒号をぶちまける。優しき心を持っていた過去の彼はもう此処には存在していなかった。ただ、ジールが殺された恨みを晴らすために前へ前へと全てを破壊して突き進んでいるだけ。
 この世に絶望した人間らしい行動だった。自分の思い通りにならぬのなら、何もかもを壊しつくしてしまえば良い。そうして残ったところに、自分の求めた世界が出来上がる。救世主がいないのならば、自分で自分の世界だけは護ってみせる、創り上げてみせるのだ。
 そのようにするために、自分の理想を築き上げるために彼は、関わった敵すべてを抹消しようと動いていた。
 それは例えるならば竜巻のようで、通った後は瓦礫の山と化して、昔町であったことだけを物語っていた。煌々と燃える炎は自身の破壊願望が満たされたと心の中に充足感を注ぎ込み、新緑に萌える遠くにそびえる山々の木々はよりいっそうの破壊を自分に促しているように欲望を駆り立てる。

「憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い、どれほど恨んでも恨み足りないほどに人間が、楓秀也が憎いんだ!!分かっているさ、彼は彼なりに自分の世界を守っただけだと!それでも物足りないんだ、我が親友の消えた理由としてはぁっ!」

 そう叫び続ける彼の引き連れる兵隊、それが持っている弾薬はもうすでに、当初に一割を割っていた。
 この戦闘の終わりに、刻一刻と近づいている——。




                                            続きます



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おっと、そろそろ近づいて来たんじゃない?
第一章の鬼ごっこ編完結が遂に?
第二章の内容は大体決まってます。前言ったけど総合でキャラ募集したしね。
ジール消滅、イグザム(+イグザム軍)下水道に封印(笑)
後は弾薬尽きそうな暴走亡霊のみ。

先に二章の告知をいくつか・・・

1、誰も死なないげえむ内容。でも、巻き込まれたら少しショッキング
2、一章以降出てこなさそうなあの人が・・・いやまあ出ないと不味い人なんだけども
3、募集キャラの提供元の御方もさらっと紹介します。
4、一章よりも短い
5、第三章(げえむ関係無し)につながる話題が出る。

以上です、次回に続きます。