複雑・ファジー小説

Re: DARK GAME=邪悪なゲーム=  第三十二話更新  ( No.51 )
日時: 2011/10/27 19:57
名前: 狒牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: M45Xgr5w)

第三十三話 特例発動です









「しかしながら・・・よくもまあこんなにぶっ壊せるものだな・・・」

 未だに鳴りやむことの無い爆発音に向けて吐きつけるように楠城が言い放つ。かれこれ二時間近く逃げ続けているが、一向に音が鳴りやむ気配が無い。
 別に威力に感心している訳ではない。六十年以上前にすでに、一発で一つの都市を壊滅させるような兵器が出来上がっているのだから。それが使われていない辺りはまだましなのだ。
 そこでもう一度思い返す。自分の真に言いたいことはそこではないと。自分が一番言おうとしている事、それはいつになっても武器のきれる気配がしないことだ。
 さすがに、あそこまで使い放題だと、そろそろ無くなってきてもいいはずだ。だが、火力を落とすつもりはあいつらには一切無いらしい。普通、弾薬等が尽きてきたら節約、とまではいかないが使用を制限しておかないと肝心な時に使えなくなってしまう。

 これではまるで、無くなって欲しいと言っているようなものではないか——。

「待てよ・・・そういうことかもしれないか・・・」
「何がそういうこと、なのさ?」

 さっきからぶつぶつと、声を漏らしながら考え続けの楠城に対してそろそろ痺れをきらそうとしている竹永が何を考えているのかと訊いてみた。

「おかしいと思っているだろ?ここまで武器を使っても減っているような素振りが全く見られないことが」
「ああ、確かにそうね・・・」

 楠城がさっきからずっと結果的に自分だけが考えていた話題を皆分かっているかのような当然のことのように問いかける。
 だが竹永含む後の二人はそんなことには全く気付いていなかった。それに対して少し恥じらうような態度を取って濁すように言葉を返す。

「それで思ったんだ、もしかしたら追ってきている奴は、弾薬を無くそうとしているんじゃないか、と」
「それってどういう・・・無くなったら私達に有利じゃないの?」

 それでいて疑問に思ったことに対する一つの仮説を口にする。何かを狙ってこのような行動に走っているのではないかと。そうでないと、このやり方には意図はともかく意義が全く感じられないという風な自分の感情を含むようにして。
 しかし、その内容が竹永には全く想像できず、それについてまたしても聞きなおすことになる。だが、そこで聞きなおした質問には楠城はあっさり答えることはできなかった。

「そこについては一切分からない。だから、訊くことにする」

 訊くって誰に?そう斎藤と竹永は思ったがすぐに気付くことになる。げえむについて分からないことが一切無い人間がいるではないか、と。
 そして楠城が空に向かって叫ぶ。

「天の声っ!聞いているなら返事をしろ!もしお前たちの弾薬がきれたら、どうなるというんだ!?」

 すぐには答えが返ってこなかった。顔をしかめながら上を眺める楠城の表情が諦めでかげろうとしたその瞬間に、ようやくあのおちゃらけた声が、空間内に響くことになる。

「ん?僕かい?残念だなぁ、僕にはアダムっていう素敵な名前があるのにな」
「良いから・・・聞いていたなら問いに答えろ・・・!」

 さらっと、何でもないことのように天の声は自分の自己紹介をした。アダム、それが彼の名前らしい。そういうおふざけは元々気が立っている楠城をさらに刺激した。急かすように命令されてようやくアダムは口を開く。

「仕方ないなぁ・・・実はね、ジールが死んでイグザムが閉じ込められた今はもう外にはイクスしか残ってないんだ。だから、そのイクスの部隊が追えなくなった時は、げえむが成り立たないからあるルールが採用されるんだ」

 いつも通り、ルールに関してのみ分かりやすく筋道を立てた説明が始まった。

「特別なルール?何よそれ?」
「今から説明するから待っててよ」

 いきなり楠城とアダムの険悪な雰囲気を止めようと中に竹永が入る。ちょっと緊張、というよりも責任感のようなものが楠城にプレッシャーとして圧し掛かっているような気がしてならない。パンクする前に止めておかないと。

「タイトルはそのまんま、特例時発動小遊戯。ただ時間を浪費するだけだったら、一気に勝負を決めようって訳だよ」
「一気に・・・・・決める?」
「うん、勝者には生還を、敗者には死を、最後のみにげえむが始まるんだ。参加者は三人。もうすでに楓たちはクリア同然の活躍だしね。後さ・・・・・・」

 後さ・・・・・・の部分に重きを置いてゆっくりと、脅すような口調で喋り出す。何があるのかと唾を飲み込んで集中していると、つい今しがた説明を受けたそれの催促ぼようなものだった。

「もう、イクスに弾薬は残ってないよ」

 つまりは、最後のみにげえむが始まる。



                                             続きます


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最後のみにげえむ参加者は、読んだら分かるけど楠城+斎藤+竹永

内容はこれから考えるさ!(嘘です)

では、次回に続きます。