複雑・ファジー小説

Re: DARK GAME=邪悪なゲーム=  第三十三話更新  ( No.52 )
日時: 2011/10/29 19:27
名前: 狒牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: OgnYhGeD)

第三十四話 二重の木塊の塔






「イクスに・・・弾は残っていない・・・」

 つまりは、最後のみにげえむが始まる。それに向けての一抹の不安を抱えながら竹永はぽつりと、怯えながら呟いた。イクスが誰かはまだよく分からないが、知性ある将軍の一人だろう。
 それよりも、最後のそれとは一体何だと考えるのが先決かなと落ち着きを取り戻そうとする。だが、その意志一つで取り戻せると言うのなら落ちつくという言葉は必要ない。

「そう、だから即行でみにげえむに移行するよ。ごしょうた〜い」

 フワフワとした得体の知れない浮遊感が身体を取り巻く。無重力の中にいるように、空を掻いても地を蹴っても、何も起ころうとしない。
 ブラインドがかかるように自分たちの体に光のラインが入っては消えていく。明滅のスピードは刻一刻と早くなる。そうして、その差が感じられない、つまりは常に光り続けているように見えるようになると、いきなりワープするかのように—————消えた。









「ここは・・・・・どこかしら?」

 初めて訪れる、周囲の色が全て真夜中の闇のような黒に染まった空間に竹永はあまり良い印象を抱かなかった。奥行きの知れぬその空間は永遠に続いているようにも見え、すぐそこにあるような閉塞感も同時に感じさせる。
 だが、ここに来たことのある者が一人だけいた。斎藤だ。コイントスを行った時に彼女は、ここに来た。もしかしたらここではないかもしれないが、ここに良く似た場所には来たことがあるのだ。

「ここは、みにげえむ専用の場所なのかしら」

 また、今となってはもう聞きなれたあの金属音が聞こえる。条件反射のように三人は身構えて、いつでも走りだせるようにする。そこに立っていたのは今まで見てきた骸骨とは、容姿も放つ雰囲気も全く違うような奴だった。
 瞬時に悟ることができた。こいつが、さっきから話題に出ていたイクスという存在。ジールという仲間の死に激昂し、大量破壊を始めた。

「お前たちが・・・我らの戦争相手か」
「・・・お前、いきなり出てきて何を言っているんだ?」

 そのイクスがいきなり意味の良く分からぬ言葉を発する。戦争、そんなものしようとした覚えもしたいと思ったことも無い。平和な日の本の国に生まれたのなら当然だ。
 その当然の疑問を楠城がイクスに突きつける。表情は骨なので変わることは無いが、口から出る言葉には不可解に感じているような気持ちが汲んで取れた。

「おかしな事を言うな。貴様らはどうせヴァルハラの使者の手先だろうが」
「だから、さっきから何を言っているんだ」
「お前たち・・・奴の命令でジールを消したんじゃないのか・・・」

 不可解過ぎて嘘を吐いているのではないかと思いこんだイクスがヴァルハラの使者という言葉を口にするも、それすら楠城は全く知らないことのように振る舞う。その声音には一切の嘘は感じ取れない。
 ようやくそこに気付くことができた。もしかしたらこの五人の人間はヴァルハラの使者に利用されている、ないしは何も告げられずに参加させられているだけだと。
 だとしたら、なぜこの者たちが躍起になっているのか、気になる。どうしてか、それを問いただしてみようとした時に、勝手に楠城が自分からその理由を伝え出した。

「俺たちはただ、生きて元の世界に戻るために闘っているんだ」

 強く澄んだ眼差しには、その覚悟を深くまで焼きつけているような気迫があった。ただ、生きようとするために、その言葉に妙な親近感をイクスは感じた。なぜなら彼らアダムの使者も、生きるためだけにこのようなことをしているのだから。
 そこで少し心が落ち着きそうになったのを気取られたのか、自分の遥かに上に位置しているアダムの声が聞こえてきた。

「全員そろったみたいだね。じゃあ、最後のみにげえむの説明を始めるよ。最後のみにげえむは・・・」

 緊張を殺すために握り締めた拳が、カタカタと小刻みに震えている。緊張は殺せても、その根源に巣食う恐怖は中々に打ち砕けなかった。

「その二つの机を見れば、す・ぐ・に・分かると思うよ」

 刹那、遥か上空から二対の机が落ちてきた。一つはこの空間と同調するような黒の机、もう一方はこの場所ではひどく浮き立つ純白の机。
 その上には共に、木製と思われるきっかし同じ大きさの細長い直方体が、規則正しく並んでいる。一段辺りの木の塊は三個。それが十段積まれている。それは左右対称に、全く同じ個数積んである。

「最終げえむ、それは・・・」

 このゲームには見覚えがあった。一般人なら大多数の人間が知っていて、過半数の者がプレイしたことがあるものだからだ。
 下の方にある木の棒を引き抜いて上に規則正しく置いていくこの遊びは、超有名なパーティーゲーム。その名も・・・

「ジェンガだよ」





                                              続きます



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さあ、ついに始まりましたラストゲーム。
長かった・・・後一話か二話で終わるでしょう。
ま、その後のちょっとしたイベント含んで第一章なので後三、四話かかりそう・・・


あ、そうだアンケートしたいのですが・・・答えてくれる人いるかな?

一章の総集編的なものするかしないか迷っているのですが・・・どうしましょ?
読みたい、読みたくない率直にお伝えください。
後、ナレーションは楓、竹永は確定としてです(二章では氷室がするはず)
ま、今回しなかったら次回もしないけど・・・

まあ、目に着いたら誰か回答してください。
ではでは次回に続きます