複雑・ファジー小説
- Re: DARK GAME=邪悪なゲーム= 第三十四話更新 ( No.55 )
- 日時: 2011/10/30 16:24
- 名前: 狒牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: RcHXW11o)
第三十五話 最終決戦開始です
黒と白の対照的な二つの机。その上に乗っているのは規則正しく並んだ色も大きさも全く同じのジェンガ。だが、違うところが無い訳が無く、それを含む解説をするために上空から先ほど菜を名乗ったアダムの声が入る。
「ジェンガ、そのルールはちょっと複雑。アクティブジェンガとパーソンジェンガ、この二つを順番が来るごとに一回ずつプレイしてもらう。まず、アクティブジェンガの説明を始めるね」
そう、一旦息継ぎをするように一拍置く。やはり、双方のそれには少し違いがあるようだ。
アクティブ、その単語には動き、行動という意味が含まれている。そんな事は考えられても、その続きが全く思いつかない。行動ジェンガとは、どういうことなのだろうか。
「アクティブジェンガには、指令が書いてあるんだ。極端に言うと『死ね』とかね。まあ、今回はその指令は無いんだけど、一番軽いメニューが腕立て五十回とかだと思って」
アクティブジェンガ、それはどうやら誰かにその行動を強制的に行わせるようのものらしい。書いてある指令に従うということなのだろう。だが、それを誰に押し付けるのかが分からない。おそらく、それを解決するのがもう一つのパーソンジェンガなのだろう。
その予測はぴったりと当たっていて、それから入る追加のルール説明に頷いた。
「次に、その指令を誰が実行するかをパーソンジェンガで決めるんだ。竹永ちゃんが引いて斎藤さんになっちゃうこともあるから気を付けてね」
仲間を手にかけてしまう可能性もある。その緊張感に思わず息を呑む。人の命、自分の命、目の前の骸骨の命、どれを取るかは全くの運次第。
目隠しをされてナイフを手渡されるようなもの、何を切り裂いてしまうかは、蓋を、目隠しを取るまで分からない。
「そして最後に、勝敗を決めるための大事なルールだよ!敗北<死>を決めるのは『OUT』指令を引き当てた後に、パーソンジェンガで指名された人。指定された瞬間に、即死んじゃうからね。倒した場合ももちろん『死』だよ」
つまりは、斎藤がOUTになった後にイクスがOUTになっても斎藤は戻ってこないということだ。
「じゃあ、げえむスタートだよ、生き残るのは・・・・・だ〜れだ?」
いきなり、上空から光が射し込まれる。その光はまっすぐ楠城を照らしていた。要するに、自分の順番なのだなと、楠城はアクティブジェンガに向けて歩を進める。
初めてであり、どのような指令があるのが知らないこともあり、さほど緊張せずに一つの木塊を抜いた————。
指令内容は『百ボルトの電圧に打たれる』だった。
それを見た楠城の表情にさっきまで無かった種類の戦慄と緊張が走った。百ボルトの電圧は家庭用コンセントの電圧と同じ。下手をしたら人命に関わる。
だが、勝敗・・・すなわち生死を決めるのはOUTブロックと塔の倒壊だけなのだ。つまり、電圧を受けるのは数秒だけで死ぬことは無いということなのだろう。
だが、斎藤や竹永、さらに自分がそのような指示を受けるかもしれないとなると緊張しない訳が無い。指を震わせながらパーソンジェンガに手を伸ばす。
そして、ゆっくりと、永遠のように思えるように少しずつもう一つの木塊を取り出す。
「・・・・・楠城・・・怜司・・・」
抜きだしたブロックに書かれていたのは彼自身の名前だった。大きな恐怖と、少しの安堵感を心に刻み込む。
自分がアクティブを受けることに対する恐れ、斎藤や竹永にそれを回さずに済んだ安心感。そんな感情を抱えている楠城に、電流が襲いかかる。
「・・・ウ・・ァ・・アぁッ・・・」
顔を苦痛に歪ませて、ほとんど声にならない悲鳴を漏らす。耐えきれないものではないが、一部では無くほぼ全身を襲っているので相当な苦痛だ。
三秒ほど続いた後に、少しずつ電撃は抜ける。完全に抜けきると、化の場に彼は膝を付いた。吐きだす息は弱々しくこそなっていないが、不規則で揺れている。
その状況の楠城に二人は駆け寄る。意識はしっかりしているので大丈夫そうだと、ホッと息を吐く。
「俺は大丈夫だ。次・・・お前だろう?」
いつの間にか光は楠城から斎藤に乗り変わっていた。それに気付いた斎藤は、少しためらいながらも、アクティブジェンガに向けて歩きだす。
「これに、します・・・・」
パッと決めて引き抜いたそのブロックには、肋骨の骨折と指示されていた。だがここでくよくよしていると時間の浪費。パーソンジェンガに向かい、もう一本引き抜いた。
今回、名が指定されたのは、イクスだった。
カツーんと、軽い音を立ててイクスの服から一本の骨が落ちてくる。ここから、彼の体が骨だけでできていると再認識する。形は人体模型で見る肋骨と似ていることから、指令が下ったと悟った。
「ふん、構わない」
そうして、おもむろにジェンガを適当に二本引き抜く。そこにはまず、竹永の名前が記されていた。
恐る恐る竹永は、もう一方のジェンガを見てみる。そこに書いてある指令は、良いとも悪いとも言えなかった。
『この後に五回連続でプレイする』
つまりは、五本ずつ抜かないといけないということだ。緊張感などを加味すると、やはりあまり良いものとは思えない。
しかし、まだ何か外傷を負うとは決まっていないので良いだろうと無理やりに納得させる。
そして、最初に引き抜いたのは空白のブロックだった。何だろうかと思ったが、アダムによるとサービスのノーアクティブジェンガ。指令なしで次にいけるが、一応パーソンジェンガも引かないといけない。
現れたのは斎藤の名前だった。何もなくて良かったと思い、もう一度ジェンガを引き抜く。今度の指令は『今最も憤っている事を叫ぶ』だった。
その指示を受けたのはイクスで、その回答は『ジールが死んだこと』だった。
その次が問題だった。指示は『次にあなたが引くブロックは全てOUTブロックになる』であったのだ。そして、次に必ずそれを引き当てる人間は———竹永だった。
「次は必ず・・・OUTブロック」
もしも、自分を引き当ててしまったら、楠城と斎藤を手にかけてしまったらと思うと、恐ろしくなる。
あまりのプレッシャーと恐怖でもはや震えすら起こらずに、ジェンガを取る。指令はもちろん『OUT』。
全ては、次のパーソンジェンガに全て託された。
続きます
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長いので、何も書けません!次回に続きます。