複雑・ファジー小説
- Re: DARK GAME=邪悪なゲーム= 第二章スタートです ( No.65 )
- 日時: 2011/11/09 21:30
- 名前: 狒牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: z9DnoDxA)
第四十話 かくれんぼ、スタート
その転校生二名の紹介が終わってすぐに一時間目が始まったため、氷室に色々訊いてみようとしたができなかった。
仕方ないかと楓は肩を落として退屈な科学の授業を欠伸を浮かべて耳に入れていると、視界の端に仇無の姿が入った。
思い返す、つい先ほど奴が言った内容を。仇無は確実に、『第二のげえむ』が始まると宣言した。ゆっくりと状況を整理してみる。あいつの風貌はどことなくイグザムに似ている。何かしらの関連性があるとして、やはりアダムの使者であることは間違いない。
その次に注目するべきは声だ、あの声をどこかで楓は確実に聞いたことがある。それも、つい最近、つい前日、それも夜に。つまりは正体を分かりやすく言うと、鬼ごっこのルールを一々説明し、おちゃらけた口調で苛立ちを駆り立てた天の声、アダムの可能性が高い。
「楓君、この問題解いてみて」
楓がそのようにアダムのことを考えていると不意に、科学の教師から名指しで当てられた。何事かと思い目を見張ったが、彼の言った以上の内容ではなく、ただ単に今話題に出ている問いの回答を答えろと言われただけだった。
「えっと・・・11,2リットル?」
即座に彼は頭の中で演算し、答えを弾きだす。先生がまだかと待ちかまえているところについ今しがた求めた答えを返す。急いで説いた割にはきちんと計算もあっていたようで、ひとまず安心して思考に戻る。
だがやはり、あのルール説明では全然分からなかったので、もう少し本人から訊いてみようと思い、授業に戻ることとなる。退屈な授業を耳に収めても面倒なだけだが、気を紛らわせるのには充分だった。
予想通り、一時間目と二時間目の間の休憩時間は転校生周りに人だかりができていた。一つ予想を裏切られた点は氷室の周りにその群れが出来るのは当然として、仇無の周りには誰一人として近づこうとしなかったことだ。
氷室の周りには複数人の女子と、男子が十数人連なっていた。まあ、顔だけは整っているからなと、楓はため息を吐いた。先日のあのような状況での、今にして思い返すと冷酷な数々の発言は、内面のひねくれようを表わしていると感じる。
そんなことよりも仇無の方だ、まあ誰も近づかない要因は予測するのが容易だった。いきなり壇上で奇怪な事を叫ぶのだ。痛い子扱いされて遠ざけられても仕方ない。クラスの目が氷室に向いている今、ルールを訊いてみるには調度良いタイミングだった。
「おい、アダム」
単刀直入に訊きだすため、楓は仇無ではなくアダムと呼びかけた。当然というかの如く彼は振り向いた。その顔には人面の良さそうな笑みを浮かべているが、よそよそしく見えてならなかった。
「僕のあだ名かな?学級委員さん、どういう用件かな?」
「しらをきるな。もう大体分かっている。声がそのままなんだよ、昨日とな」
その作り笑顔でそれを受け流そうと仇無は試みたが、楓にばっさりと切り捨てられた。そして、疲労感漂うような深い深いため息を吐いた。
まるでついさっき、授業が面倒くさいと自分が思っているように、そういうだるさをその息に含ませていた。
「やっぱり君さぁ・・・怖いんだよね、鋭すぎ。これじゃあ僕たち本当に死んじゃうかも」
「何を言っているんだ?」
ざわめくクラス内の雰囲気のおかげでその会話を第三者が聞いているようなことは無かった。そういう状況だからこそこの二人は安心してかのような会話をしているのだが、いきなりアダムの呟いた言葉は楓に疑問を抱かせた。
「こっちの話だよ。一々来たってことはもちろん・・・」
「ルールを聞きに、だ」
「了解長くなるけど聞いててね」
さっきのそんなぼやきは聞かなかったことにしておいて欲しいというように彼は話題を転換した。今話題にすべき点はそこではないと分かっている楓もそれに合わせるように答える。
そうして、またしても長い長いルール説明が始まる。
「まず、げえむの名前はかくれんぼさ。参加者は二人、これはもう言ったよね。でもってクリア条件なんだけど、楓はもう一人の参加者を探しだしてくれたら良い。参加者を見分ける方法なんだけど、まずここはパラレルワールドだってことを知っていてね」
パラレルワールド、その言葉の意味は良く知っている訳ではないが楓はイメージ的なものは一応持ち合わせていた。それが間違っていると困るために、一応確認する。
「パラレルワールド?現実と並行して動く、第二第三の世界みたいなものか?」
「ま・・・そんなイメージで良いんじゃない?それでね、パラレルワールドと言うからには、現実とはちょっと違う点が一点あるんだよね。その違いに順応出来ていない人を探し出してくれたらOKさ。だから・・・別に氷室ちゃんでも竹永さんでなくても、このげえむは成り立つってことも覚えておいてね。制限時間は七十二時間、三日だね。それを過ぎると・・・」
鬼ごっこの内容から察するに、どうせろくでもないバッドエンドが待ち受けているに違い無いと断言できた。事実、本当にろくでも無かったからだ。
「三日を過ぎると、どうなるって言うんだ?」
「異端者を含んでしまった世界には歪みや淀みが生じる。それを放置することは世界の崩壊につながるんだ。だから、制限時間吐き。あっ、ミスったらもちろん楓君も消えちゃうから注意してね」
おふざけにもほどがあるだろうと、憤りたくなったが、そうも言っていられない。何せこの目の前の男子をどうにかしてしまうと、それこそどうなるか分からない。
「二個だけヒントあげるね、君の仲の良い知り合いが参加者になっている。そして・・・ここで最近ブームになっていることに関してのもう一つの世界、さ」
それだけ言い残して、仇無はそっぽを向いた。これが、げえむ開始の本当の合図。
制限時間まであと、七十時間三十分。
続きます
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さて、第二げえむの説明アホみたいに長いです。
楓はあれで理解しましたが分かりづらい人は言ってくださったら読者&作者用作ります。
自分でも正直七割ぐらいしか理解していません。ちょっと問題ですけどね。
では、次回に続きます。