複雑・ファジー小説

Re: 空を見上げて見えた物は・・・ ( No.12 )
日時: 2011/08/23 12:24
名前: 秋桜 ◆SVvO/z.cC. (ID: ueXHoJNS)

第5話〜家での美香〜

いつもの学校の帰り道。

「あ〜……また、あの家に帰らなきゃな……」

美香はため息をつきながらつぶやく。
美香は、昔の事件があったためか、祖父母達が近所に引っ越してきていた。
其処から美香は学校へと通うわけだが、美香にとっては不満だった。

「帰りたくないな……あんな家……」

美香にとって祖父母の家は、苦痛でしかなかった。
その理由は……

「ただいま……」

「あら、お帰り〜。美香ちゃん今日は何食べたい?」

「なんでもいいよ。おばあちゃん」

甲高い声と、派手なエプロン。少なくとも高校生に聞くことじゃないだろうと言う台詞。
そして、特に問題は祖父のほうである。

「よぉ。帰ったか〜」

髪の毛は何故かカツラ、服は何故かスーツ。

「……!……うん……」

一瞬美香は驚いた表情をした。でも、またいつもの表情に。
何故驚いたかと言うと、美香の父優朔と瓜二つだったのだ。

祖母が、リビングへ走ってくる。

「あんた!何し……」

祖父がカレンダーを指差す。
其処を見た祖母は美香につぶやいた。

「美香ちゃん。今日は、中華麺……食べようか」

そう。今日は6月23日。
美香の両親の結婚記念日だったのだ。

美香の頭の中で、結婚記念日になれば必ず中華麺を食べていたことを思い出し、頷いた。

「……うん」

美香にとって、この日は、幸せな日だった。
今となっては、辛い現実だったが。

第5話オワリ