複雑・ファジー小説
- Re: モンスターの国のアリス〜異世界トリップファンタジー〜 ( No.34 )
- 日時: 2011/09/06 20:33
- 名前: 七瀬 ◆50da5jMTv2 (ID: ADlKld9P)
第Ⅱ章 本当の始まり
物語の登場人物が全て揃った。だけどこれからが本当の”始まり”なのだ。
フランケンシュタインと出会ってから数日が経った。
「宝物ってどこにあるのかなあ」
私が読んだ本では宝物が見つかったのか見つかっていないのかよく分からなかった。次の出来事を皆に予言しようとしても記憶が薄れているし……。
それに最近不思議な夢を見るのだ。夢の中で夢を見るっていうのも不思議なのだけれど。
【わ……だけ……げ……んて……】
誰かがそう叫んでいる。だけど言葉が上手く聞きとれない。皆に心配かけるのが嫌だから、このことは黙っている。
- Re: モンスターの国のアリス〜異世界トリップファンタジー〜 ( No.35 )
- 日時: 2011/09/06 20:42
- 名前: 七瀬 ◆50da5jMTv2 (ID: ADlKld9P)
「誰か願いが叶う宝物について少しでも知っている人ー?」
しーん……
「……オレたちも聞いたことがなかったからな」
「そんな話初耳だからね」
「オイラ肉が喰いたい」
「ボクも……知らない……」
全員知らないみたい。知ってそうな人……。
透明人間! だけど今どこにいるのかわからない。
「じゃあ誰か友達か知り合いか赤の他人で知ってそうな人いない?」
「いるといっちゃあいるんだけど……オイラアイツと関わりたくない」
「オレも……いる」
「まず狼男のお知り合いのほうから行きましょっか(笑顔)」
「うわひでぇっ! オイラ関わりたくないって言ってるのにぃ!」
「ほーら餌あげるから大人しく言うこと聞いて案内しましょね〜」
餌付けるしかない。
「うっ……。分かったよ」
森を進んで行く。
「その知り合いってどんな人?」
「すっげぇ嫌な奴」
辿りついた場所には小さな村があった。少し東洋風な家があった。ノックをする。
「はーい。どうぞー」
返事があった。
「お邪魔しまーす」
扉を開けてまず目に入ったのは……私!?
- Re: モンスターの国のアリス〜異世界トリップファンタジー〜 ( No.36 )
- 日時: 2011/09/06 20:39
- 名前: 七瀬 ◆50da5jMTv2 (ID: ADlKld9P)
「えっ! 何で私がいるの!?」
「えっ! 何で私がいるの!?」
「同じこと言わないでよ!」
「同じこと言わないでよ!」
目の前にいる私は私が言った言葉を繰り返す。瞬間移動みたいなことをしながら。
容姿は私そっくり……。ドッペルゲンガー?
「あなたは誰?」
「あなたは誰?」
なんだかだんだん腹が立ってきた。
「……リズリズをからかうのもそれくらいにしておけよ。化け猫」
そう言うと目の前の私に耳と尻尾が生えて……。姿を現した。
「これで良いだろ。悪かったな女」
黒い猫の耳と尻尾が生えた狼男より少し年上っぽい男が現れた。
「まーたそんな風にオマエは人をからかってぇ!」
「ふん。化け猫一族である俺に何かよう? 人間と犬とその他」
「犬って言ったなてめー! オイラは狼だ!」
そう言うと狼男は犬モードから狼モードに変身した。
「おっと、喰われるのだけは勘弁勘弁」
化け猫は宙に逃げた。化け猫は狼男の攻撃をかわしながらもニヤニヤと笑っていた。
その様子はまるで……
「チェシャ猫だぁ!」
「うわっ!?」
私は床に降りた化け猫におもわず抱きついてしまった。化け猫は混乱しているようだ。
「女、俺はチェシャ猫じゃない! そもそもチェシャ猫って誰!」
私はハッと我に返った。そうだ。ここはあの不思議の国じゃないんだ。
「ごっ、ごめんなさい! あなたがあんまりにも私が好きな物語の登場人物に似ているから……」
色や格好は違うけれど。
「へぇ。どんな物語なんだ?」
- Re: モンスターの国のアリス〜異世界トリップファンタジー〜 ( No.37 )
- 日時: 2011/09/06 20:41
- 名前: 七瀬 ◆50da5jMTv2 (ID: ADlKld9P)
どんな物語って……。物語の中で別作品の話をしても良いのかなぁ。
「『不思議の国のアリス』っていう物語。あの独特の世界観とか、個性的な登場人物が好きなの。主人公のアリス、白うさぎ、双子、帽子屋……。でも特に好きなのはチェシャ猫なの。」
って何私はこんなに語っちゃっているんだ。
「ふぅん、そんな世界に行ってみたいな」
「でしょ?」
「『アリス』か……。なんだろう。聞いたこともない名前なのになぜか懐かしい……」
「ははっ! その年で懐かしいとはついにボケたかバカ猫」
「なんだと犬」
また2人のケンカが始まってしまった。宝のことを聞きたくても今は聞いてくれそうにない。
私は他の仲間たちとそっと家の外に出た。
「何で皆何か言ってくれなかったの。一言も喋ってなかったじゃない」
「……いや、あいつらに首をつっこむとたぶん殺られる」
ミイラ男が言うと皆うなずいていた。
話をしていると狼男が帰ってきた。ボロボロになっている。負けたのか……。
「次はミイラ男が言う知り合いねって……もう夜?」
「この世界は時間が経つのが早いからね。! 狼男!?」
狼男はまぶしい光に包まれていた。まさか……!
「今日は満月だよ……」
フランケンシュタインが空を指差す。大きな満月が出ていた。
- Re: モンスターの国のアリス〜絵募集中〜 ( No.38 )
- 日時: 2011/09/06 20:46
- 名前: 七瀬 ◆50da5jMTv2 (ID: ADlKld9P)
光が消えたかと思うと犬……狼の姿はなかった。
狼の耳と尻尾を生やした青年が立っていた。
「やったあ! オイラ人間になれた!」
そう言って狼男は私を抱きしめた。
「苦しい苦しい! 抱きつかないでよっ!」
私は狼男の頬を思いっきりビンタした。
犬の姿のときならまだ大丈夫だけど、人間の姿で抱きしめるのはやめてほしい……。
「え、オイラなんか悪いことしたか?」
あとカッコイイのに「オイラ」という一人称でかなり幼く見えてしまうな。
「狼男。もっと乙女心を知りなよ」
なぜか吸血鬼に注意されている。
「おまえ人間の姿になったのか」
振り返ると化け猫がいた。
「やい! バカ猫! 今度こそはオイラが勝つ!」
「まだやるのかよ……」
また2人はケンカを始めた。
ケンカの勝敗は……。聞くまでもなく狼男が負けました。
- Re: モンスターの国のアリス〜絵募集中〜 ( No.39 )
- 日時: 2011/09/06 20:49
- 名前: 七瀬 ◆50da5jMTv2 (ID: ADlKld9P)
今がチャンスだ。
「ねえ化け猫! あなた、願いを叶える宝物について何か知らない?」
「宝? 聞いたことないな」
化け猫も聞いたことがないらしい。
「そっかぁ……」
私は溜め息をつく。
「ねえ、また遊びに来ても良い?」
私の不思議の国のアリス語りを聞いて貰って嬉しかった。またお話をしたい。
「あ? ああ、別にいいぜ」
「ありがとう! チェシャ!」
がばっ
「抱きつくな! ていうか俺はチェシャ猫じゃ……。ああ、もう仕方ねえな……」
チェシャ……化け猫は優しく私の頭を撫でてくれた。
- Re: モンスターの国のアリス〜絵募集中〜 ( No.40 )
- 日時: 2011/09/06 20:52
- 名前: 七瀬 ◆50da5jMTv2 (ID: ADlKld9P)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode
今夜は野宿になりそうだ。嫌だなあ。変な虫に刺されるし、この間みたいにいつモンスターが襲ってくるか分からない。不安な夜だけど、私は眠りについた。
【わた……だけ……げる……んて……ない……】
またあの夢だ。
【み……を……まも……い】
だんだん声が私の耳に近くなる。嫌だ。怖い。
「いやぁ!!!」
目が覚めた。嫌な汗を書いている。皆が起きなくてよかった。
いつになったらあの夢は終わるのだろう。誰が助けを求めているのだろう。