複雑・ファジー小説

Re: モンスターの国のアリス〜絵募集中〜 ( No.63 )
日時: 2011/09/06 21:11
名前: 七瀬 ◆50da5jMTv2 (ID: ADlKld9P)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode

「それにこいつらにあなたの恋人は無理よ。無愛想、カッコ良いけどキザ男、バカ犬、未成年(?)だし」

 私今すごいひどいこと言っちゃった。

「ふうん。じゃあ私のお願い聞いてくれる? あのね……」

 ”私の恋を叶えてほしいの”
 そんなこんなでそのお相手を探している。恋を叶えたら皆を返してくれるらしい。

「私は恋のキューピットじゃないのよ」

「お届け物でーす!」

 目の前で郵便配達をしている男の子がいた。顔に赤い模様があって、鳥の翼が生えている。

”その子、鳥人の男の子なんだけど。私は地上に行っても歩けないから会えないし……”

「すみませーん。あなたが鳥人さんですか?」 

「にっ、人間!? オレは鳥人だけど。何かオレに配ってほしい物でもあるの?」

「鳥人魚さんの恋人になってくれませんか?」

 私がそう言った瞬間、鳥人の顔が真っ赤になった。

「とととと、鳥人魚の!? 無理無理! オレとあの子じゃつりあわないよ。鳥人魚は可愛いし、オレの憧れ……って何言ってんだオレ」

 もしや両思い?

「でも鳥人魚はあなたのことが好きなんだよ?」

「そ、そんなの信じられないよ! じゃあそういう本人を連れてきてよ!」

 ブンブン首を振っている鳥人。

「なら連れてきてあげるよ。その前に、あなたは鳥人魚のこといつ好きになったの?」

Re: モンスターの国のアリス〜絵募集中〜 ( No.64 )
日時: 2011/09/06 21:10
名前: 七瀬 ◆50da5jMTv2 (ID: ADlKld9P)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode

「それは……。ある日、あの岩の上で歌っている彼女を見たんだ」

 鳥人が岩を指差す。

「オレは仕事が終わるたびに、ここで彼女の歌を聴いていた。……何だか癒されるんだ。でも、彼女とオレは種族が違うから……」

 しゅんと鳥人は下を向く。

「分かった。連れてきてあげる」

 私は海の中に入って行く。種族の違いか……。

「鳥人魚さん。鳥人さんがあなたを待っています」

 地上へ向かう途中、私は鳥人に言ったことと同じことを鳥人魚にも聞いて見た。鳥人魚は微笑みながら言った。

「私、ずっと海の底から、空を飛ぶ彼を見ていたの。一生懸命に仕事に取り組む彼が眩しくて。彼はこの暗い海を照らす太陽みたいな存在かしら」

「……やっぱり、同じ気持ちなんだね」

Re: モンスターの国のアリス〜絵募集中〜 ( No.65 )
日時: 2011/09/06 21:09
名前: 七瀬 ◆50da5jMTv2 (ID: ADlKld9P)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=11029

 地上に上がって行く。繋いでいる鳥人魚の手は温かかった。いや、温かいというよりも熱いっていうほうが正しいのかもしれない。きっと緊張しているのだろう。
 鳥人は待っていてくれた。

「は、初めましてっ! 鳥人と申します!」

「こうやって話すのは初めてですね」

 2人とも声が震えている。なんだかお見合いを見ているようでこっちも緊張してきた。
 しばらく沈黙が続いて——。

「あっ、あのっ……!」

 鳥人魚が言った。

「好きです。私と……付き合ってくれませんか?」

 鳥人は驚きのあまり目を丸くした。

「信じられない。オレも、鳥人魚のこと好きだよ!」

 鳥人は鳥人魚を抱きしめる。二人とも幸せそうだ。

「おめでとう。二人とも」

Re: モンスターの国のアリス〜絵募集中〜 ( No.66 )
日時: 2011/09/06 21:07
名前: 七瀬 ◆50da5jMTv2 (ID: ADlKld9P)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=11029

 2人はめでたく恋人になった。鳥人魚が歩けないから、あの岩場で会うことになったらしい。今度は食べられないといいけど。
 あと、もちろん皆は返してもらった。全然記憶がないらしい。
 私たちは鳥人魚の家に泊まらせてもらうことになった。

「私も、いつかまた恋がしたいな」

 そう呟いて、私は眠りに入った。

【……はどうしてあまり外に出ないの?】

 またあの幸せそうな夢だ。

【それは——】

 頭の中にザーーーッとノイズが走る。

【私だけ逃げるなんてできない!】

【これで……にしようか……】

 言葉が途切れて聞こえる。辛い夢。パチパチと火の音もする。

【さよなら】

 早く覚めて!

Re: モンスターの国のアリス〜絵募集中〜 ( No.67 )
日時: 2011/09/06 21:06
名前: 七瀬 ◆50da5jMTv2 (ID: ADlKld9P)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=11029

 朝になった。といっても時間は……早いほうじゃないかな。
 私はリビングルームへと向かう。

「おはよう……。リズちゃん……」

「あれ? フランケンシュタイン1人?」

「うん……。朝ご飯作っておこうと思って……。
リズちゃん顔色悪いよ……? また夢を見たの……?」

 フランケンシュタイン、心配してくれるんだ。

「うん。……私が死んじゃうのも時間の問題だな」

 ダダダダダ
足音が近づいてくるのが分かった。

「リズリズゥ! 死ぬとか悲しいこというなよぉ!」

 さすが犬……狼の耳はいい。

「騒がしいわね狼さん。もうちょっと静かにしてくれないかしら」

「全くだ」

 鳥人魚とミイラ男も眠そうに部屋から出てきた。夜行性の吸血鬼はまだ起きて来ない。

「おぉフランケンシュタイン飯作ってんのか! 早く食おうぜ!」

「あともう少し待ってね……」

 食事のしたくが終わって、私は食事中に例のことを鳥人魚に聞いてみた。

「知らないわ。そんなお宝。……パパなら何かわかるかも。ちょっと聞いてくるわ」

 10分後、鳥人魚は戻ってきた。

「パパが言うには『女王様』に聞けば何か分かるかもしれないって」

「女王様?」