複雑・ファジー小説

Re: 【REVERSE WORLD】… 第六章開始 ( No.48 )
日時: 2012/07/17 00:26
名前: 将軍 (ID: uOi54irs)

第1話
「実家に帰るのは久しぶりだな」
「そうだね」
士官育成学校から実家に帰るために野々村と美鈴は新幹線に乗っていた
「そういや士官学校に入学して以来実家に電話も帰省もしてないや」
「あんたって…一回ぐらい電話掛けなさいよ」
「だって面倒じゃないか」
爽やかな笑顔だった
「そんな爽やかな顔してそんな事言うあんたって凄いよ」
苦笑を交えながら楽しく談笑をしていると野々村と美鈴の実家がある目的の駅に着いた
「さて、あとは歩きっと」
野々村は自分の荷物と美鈴の荷物の両方を持った
「自分の荷物ぐらい自分で持つわよ」
「良いよ、どうせ家隣同士なんだから、それにこういうことは男がするもんだろ」
(こういうとこだけ男らしくなって、もう!)
顔を若干赤くしていた、それを見た野々村は
(夏だから暑いのかな?)
斜め上に解釈した理由で納得していた

「着いたな、ついでに裕子さんに挨拶していって良いか?」
「あ、うん、分かった、ただいま」
ドアを開けると家の奥から柔和な笑みを浮かべた女の人が出てきた、この人が美鈴の母親である紅鳥 裕子さんだ
「お帰りなさい美鈴にジンちゃん」
「ご無沙汰です、裕子さん」
ちなみに何故下の名前で呼ぶかと言うと裕子さんがおばさんと呼ばれるのを嫌がるためだ
「ジンちゃんも帰省してきたんだ、克人さんとまーちゃんが喜ぶわね、とりあえず上がって行きなさいよ」
克人は俺の父でまーちゃんとは俺の母で本名は真由子だ、俺の母と美鈴の母が昔から同級生で今だあだ名で呼び合っている仲だ
「いえ、まだ家に顔を出していないんで遠慮しておきます」
「あら残念ね、美鈴」
「お、お母さん、何言ってるのよ!」
相変わらず仲が良い
「では」
頭を下げ、そのまま自宅に帰っていった

「ジン〜、帰ってきてくれたんだね、パパは嬉しいよぉ〜」
筋肉隆々の男がいきなり抱きついてきた、これだから家に帰りたくないんだ
「離れろ親父、鬱陶しい」
「パパを邪険にしないでおくれー」
「それでも元日本軍関西方面総司令官かよ」
この男、野々村 克人は母と結婚したので名誉除隊となった元日本軍関西方面総司令官だ、二つ名で『鉄壁の克人』とまで恐れられた日本軍の切り札的存在で彼が居れば日本が落とされる事がないとまで言われた男だそうだ
(こんな親バカがそんなに大層な人なのか疑問だ)
野々村に邪険に扱われ泣いている克人を見てため息をついた
さわがしい夏休みになりそうだ