複雑・ファジー小説

Re: 【REVERSE WORLD】… 第六章開始(恋愛要素多め) ( No.51 )
日時: 2012/07/17 22:01
名前: 将軍 (ID: uOi54irs)

第4話
「そういやさ、神社で夏祭りあるよな」
「う、うん、それがどうしたの?」
「暇だったら行かないか?」
「え、うん! 行く」
「そうか、じゃ夕方6時に迎えに行くよ」
「分かった」
「それじゃあな」

「ジン〜、パパと一緒に夏祭りに行こうよ〜」
帰ってくるなり克人が抱きついてこようとしたが手でそれを静止し
「パス、美鈴と行くから」
聞いた途端に部屋の隅に行き、さめざめと泣き始めた
「泣くなよ親父」
ちらっとこっちを見た
「ならパパと一緒に行ってくれる?」
「それは無理」
また泣き始めた
(うぜー、毎度毎度の事ながらうざい)
「分かったよ、明日親父と一緒に居てやるよ」
すると目が輝き
「やった〜」
野々村に抱きつき頬ズリをしていた
明日は最悪になりそうだ

「お母さん、浴衣って何処にしまってたっけ?」
「浴衣なら奥のタンスよ、いきなりどうしたの? さてはジンちゃんと夏祭りに行くのね」
「う……」
浴衣を持った手がピタリと止まった
「ふふっ、分かりやすいわね、着付けしてあげるからこっち来なさい」
「…お願い」
浴衣を持って裕子の前にやってきた
「相変わらずジンちゃんとは進展がゼロ、そろそろ進展しなさいよ」
「私だって…進展、したいよ。でも断られたらどうしようとか考えて駄目になっちゃう」
「なら、今日の夏祭りでちょっと強引に聞き出してみなさいよ、ね」
裕子が髪を梳いたり着物の帯をしめたりしていた
「分かった……頑張って、みる」

「美鈴、迎えに着たぞ」
家のインターホンを押し少し待つと
「お、お待たせ」
淡いオレンジ色の浴衣を着た美鈴がやってきた
「よ、よく似合ってるよ」
「あ、ありがと」
「じゃ、行くか」
そのまま歩き出した

「もうそろそろ花火が上がるな」
神社で一通り遊んだり食べたりした後、腕時計の時間を見た
「じゃ、あそこ行こ、誰もいないし静かに見れるから」
神社から少し離れた境内を指差した
「そうだな」

「夜空が綺麗だな」
境内に着き、空を見上げると星空一面だった
「そ、そうだね」
「あ、そうだ、コレやるよ」
ポケットから小さな包装紙を渡した
「何コレ?」
「いいから開けてみろよ」
言われたとおり開けてみると中には綺麗な髪留め
「いつも世話なってるから、プレゼントだ、いらなきゃ捨てろ」
「あ、ありがと、嬉しいよ」
目に涙を浮かべながらはにかんだ笑顔を見せた
「そ、そうか」
「あ、あのね、私はジンの事が…」
好きと言おうとした瞬間に花火が打ちあがった
「綺麗だな、花火」
「そうだね」
若干頬を膨らませて野々村の腕に抱きついた
「な、何だよ、いきなり」
「いいでしょ、今は隊長と副官じゃなくて、ただの幼馴染なんだから」
「…分かったよ」
「…来年もまた此処で花火見ようね、二人で」
「あぁ、来年も再来年もずっと見に帰ろう」
腕に抱きついたままの美鈴の頭を優しく撫でた

第六章END