複雑・ファジー小説
- Re: 【REVERSE WORLD】… 第七章開始 ( No.55 )
- 日時: 2012/07/21 23:46
- 名前: 将軍 (ID: uOi54irs)
第4話
「コレおいしい♪」
野々村と二人で街を歩きながら、途中店でバームクーヘンを買い、頬を緩ませながらおいしそうに齧りついている
普段は厳しいけどやっぱこういうとこは女の子だなぁとしみじみ思いながら美鈴を見つめてると
「何、欲しいの?」
斜め上に解釈した
「まぁ、な」
「ほら」
バームクーヘンを差し出してきたので小さく一齧りした
「うまいな」
「でしょ、やっぱ本場は違うよね」
そういうとまた上機嫌でバームクーヘンを齧りついた
(まてよ、間接キスになるな、まぁでも美鈴が気にしないなら良いか)
その後もブラブラしながら気になった店には入っていったりしていた
「フフッ 美鈴楽しそうで良かった」
「柔欄寺、やめないか、こんなストーカーみたいな事」
「いいじゃないかー、楽しいしー」
柔欄寺と瀧上と阿木はアウクスブルムの街に出掛けた美鈴と野々村を追っていた、いわゆるストーキングである
「あら、瀧上君は隊長と美鈴の恋の行方を見たくないのかしら」
いつもの柔欄寺とは違う何か黒いものが出ていた
「それは……」
「自分にさー、素直になりなよー」
柔欄寺と阿木は見るからに楽しそうで瀧上も表面は渋っているが内心はとても気になるようでやはり16歳といったところだった
「傍から見るともう付き合ってんじゃないかって言われてるのに隊長と美鈴、お互いを意識しあってるのに気づいてないフリして。見てるコッチがじれったくなる」
「それには同感だな」
「右に同じー」
「だ・か・ら、私達で後ろから暖かく見守ろうじゃない」
「ストーカーのような気がするが」
「つべこべ言わず行くわよ」
柔欄寺を先頭に野々村たちを追いかけた
「夏休みの時みたいだね」
「確かにな、あの日の次の日は親父に散々付き合わされたから死ぬほど疲れたけど」
「そうなんだ」
他愛も無い話をしながら歩いていると不意に美鈴が怯えだした
「どうした美鈴?」
「私、ね……本当は、怖いの、明日の戦いが」
肩を小さく震わせていた
「誰だって戦いは怖いさ」
「でもジンは平気そうだよ? 何でジンはそんなに強いの?」
そんな質問をされたことに俺は驚いた、訓練の成績だって、座学の成績も美鈴よりも劣ってるのでお世辞にも強いとは言い難い
「僕は弱いよ」
「ううん、ジンは強いよ、心が」
「僕が強く見えるのは、多分、守りたいものがあるからだよ」
「守りたいもの?」
「そうだよ、僕はそれを失うのが戦いより怖い、だからだよ」
「その守りたいものって何?」
野々村は一瞬迷ったが赤くなる顔を抑えて
「美鈴、だよ」
「そう、なんだ」
美鈴は顔を赤くしてそっぽを向いた
「基地に、帰るか」
「…」
美鈴は基地に向かってる間終始無言だった
