複雑・ファジー小説

Re: ミッシング・リスキー ( No.1 )
日時: 2011/08/06 17:04
名前: ヘタレA (ID: T3.YXFX2)

—プロローグ—




数年前の出来事だ。
人は魔術という異質な力を得た。
その力は『精霊因子』と呼ばれる存在が原因だった。
———が、その『精霊因子』は爆発的に世界に感染。
人は魔術を得る。
そして戦争が勃発。
世界の経済は一気に崩れ落ちる。


そして現在———。









「クロスロード。何してんだよ」


ガレキと化した建物の中、少年は首をかしげた。
少年の名は、ロスト・クロスロード。
コノ世界では滅多に見れない希少種であり、そして、周りから異質だと考えられる人種。
数年前の人類と同じ、『精霊因子』を持たない者だった。
半壊した街をボォッと見つめるクロスロードを、友人はイライラした感じで聞く。


「クロスロード!」

「そんな叫ばなくても聞いてるって。で、何だよ?」

「お前、いい加減こんな場所はなれたらどうだ?俺が住む場所くらい、」

「悪いけど断るよ」


そういうとクロスロードは前文明と同じように当たり前のように食べ物を口にする。
『精霊因子』を持つ者とは異なる行為だった。
『精霊因子』を持つ者は『魔術』という異質な力を得る代わりに、代償に、『食事』という行為を喪失していた。
『精霊因子』と『食欲』という因果はまだ判明されてはいないが。
おそらく、『精霊因子』はある意味『細胞感染』なのかもしれないという仮説が一番だった。


「クロスロー「俺、行って来るわ」」


そういうとクロスロードはブーツを履き、釘バットを担ぐ。


「・・・せめて怪我だけはすんなよ」

「りょーかい」


既に半壊状態のビルの扉は、乱暴に閉じられた。