複雑・ファジー小説
- 命短し、闘れよ乙女!! ( No.122 )
- 日時: 2012/03/05 23:23
- 名前: 野宮詩織 ◆oH8gdY1dAY (ID: pvHn5xI8)
- 参照: 潮、反抗期なう。 そして、ユリア、暴走なう。
あの後、結局、無理やり感満載な話題転換をし、話を逸らした。
天然な和ちゃんもなんとなく察してくれたようで、その話に乗ってくれた。
そして、「時間になったから」という理由で和ちゃんが作ってくれた朝ご飯をつついている。
少し前に起きてきたユリアも同じ食卓について、スクランブルエッグと固めに焼かれたフランスパンを交互に口に運んでいる。
「和ちゃん、料理上手だね」
「ありがとうございます」
和ちゃんが自分の分のパンをかじりながら、微笑みユリアに軽く会釈する。
「ユリア、左側の髪一束、すごいはねてるよ」
「え!? 嘘!? 潮さんに見られる前に直さなきゃ……。 ご飯食べてからにするけど」
見た目を気にする気持ちはあるらしいが、色気より食い気。
半分くらい残っている朝ご飯をつつき続ける。
強いて言うなら、潮さんがリビングに来るまで、というタイムリミットができたせいか心なしか食べるペースが上がった気がする。
「……青年、さっきはごめんね」
謀ったかのようなタイミングに潮さんが部屋から顔を覗かせる。
律義にもさっき置いておいたジャージを着てくれている。
「一応言っておきますけど、怒ってますからね」
許してあげたいのは山々だが、甘やかすとつけあがりそうだから辛く当たっておく。
「……ッ!」
案の定、捨てられた子犬的な表情をすれば許してもらえると思っていたらしく、プルプルと震え始める。
そして、部屋の中に戻り、頭から布団を被った。
それから数秒後に扉を閉め忘れたことに気がいたらしく、布団を被ったまま這うように前進し、扉を閉めた。
「……そういえば、お兄ちゃん、爪伸びてたよね? 剥いであげるから指出して」
「嫌だよ!?」
そんなもの、どう考えたって拷問以外の何物でもない。
しかも、爪って剥がれちゃうと完全修復まで時間かかるらしい。
さっきの傷にしても和ちゃんのおかげで大事にいたらず済んだが、本来はもっと大変なことになったはずだ。
「私、潮さんにご飯あげてきます」
和ちゃんがいつの間にか空になっていた彼女の食器をおき、潮さんの分をお盆に載せて立ち上がる。
というか、さっきの言い方だと潮さんを犬扱いしてることにならないか?
————
どうしよう、青年を怒らせてしまった。
外からユはリア嬢の「頭蓋骨かち割るぞ、コラァ!!」だとか「【放送禁止用語】に【放送禁止用語】突っ込んで、【放送禁止用語】やろうか!」という声が聞こえてくる。
……彼女らは一体何を話しているのだろうか。
「潮さん、ご飯食べないんですか?」
和がノックもなしに扉を開ける。
「……いらない」