複雑・ファジー小説

命短し、闘れよ乙女!! ( No.126 )
日時: 2012/03/08 22:07
名前: 野宮詩織 ◆oH8gdY1dAY (ID: pvHn5xI8)
参照: 和はメリケンサックを装備しているのだよ(`・ω・´)

「ここで食べてもいい、とユリアさんが言ってましたよ」

和が言う。
何かカチャカチャ音がなっているのは、俺が食べる前提で和が用意しているからだろうか。

「……やっぱり、ここで食べる」

もぞもぞと布団から出ると、俺の頭に女の子特有の柔らかい手があたる。
そして、その手はまだセットされていない俺の髪をわしゃわしゃと掻き撫でる。

時折あたる金属のような硬さと冷たさが謎の違和感を与えてくる以外は非常に心地いい。

「じゃあ、私も一緒に食べていいですか? まだ半分くらい残ってるんですけど、リビングが戦場になっちゃってて……」

和が扉の向こうを指差して苦笑いを浮かべる。
うん、あの環境でご飯を食べられる訳がないもんね。

「いいよ」

返事を返すと、俺の姿が見えないように和が少しだけドアを開けてそこからすり抜け、リビングへ出る。

あんだけ胸があるのによく通れるなぁ……。

「両手が塞がってるので、開けてもらえますか?」

三十秒と経たない内に扉の外から和の声が聞こえた。
青年達に俺の姿が見えない位置に立ち、広めに扉を開けると、和が自分の分と思わしきお盆を持って現れる。

部屋の隅っこにおいてあった折りたたみ式の机を開き、向かい合わせにお盆を置く。

「いただきます!」

すぐに和がスクランブルエッグをがっつき始める。
さっき「まだ半分残っている」と言っていたが、どう見たって俺の分の倍近くはある。

……これ、青年が買った食材なんじゃないの?

「食べるの早くない? っていうか、量多くない?」

ありがたく朝食を食べながら、気になったことを聞いておく。
あっ、普通に美味しい。

「リビングが戦場になる前にウォーミングアップしましたから! それに、朝のうちに食べておいた方が太りにくいらしいですよ」

和がフランスパンをかじりながらそう言った。

いくら太りにくいとはいえ、食べる量が多かったらあんまり意味無いんじゃ……?
その辺は女の子に言うのは申し訳ないから、口の中に流し込んだココアと共に飲み込んでおく。

「ねぇ、ずっと気になってたことがあるんだ」
「ふぇ? なんれふか?」

声をかけると、和がすぐに反応する。
口に物が入っているというか、口にものを入れ続けているせいで声が少しくぐもっている。

大きくパチパチと開閉されるまぶたがあざとく見えるが、不思議と媚びている様子を感じさせない。

こういう子が知らず知らずのうちに他の子から反感を買うんだろうなぁ……。
こういう場合は反感っていうか逆恨みかな?

「どうして、俺たちは生きてるの?」