複雑・ファジー小説
- 命短し、闘れよ乙女!! ( No.139 )
- 日時: 2012/03/23 09:42
- 名前: 野宮詩織 ◆oH8gdY1dAY (ID: pvHn5xI8)
- 参照: 夢幻「壁|ω・`)」 最近、夢幻の出番ないよね。
「ちょうど、私も行き損ねてしまってましたし」
和が自分のスプーンをつかみ、再び食事に戻る。
「廃墟行ってどうするの? そこに未契約の『ブルジェオン』が転がってたら青年に寄生するかもしれないよ? 契約済みの奴がいたら、間違いなく戦闘になるよ? もし、そうなったら青年を守れるの!? 青年が殺されたらどうするの!? 青年が殺されたら自分がどうなるか知ってるの!?」
和の能天気すぎる言葉に思わず、大声でまくし立ててしまった。
さすがの和も威圧されてしまったらしく、ただでさえ大きい瞳が見開かれ、食事の手も止まっている。
「……もしも、万が一、私が夢幻さんを守りきれなかったらどうなるんですか」
少しビクビクしている様子はあるものの、さっきとは打って変わって険しく真面目な表情の和が問うてくる。
「本当に何も知らないの?」
「は、はい」
俺が鋭い目をしてしまったからか、若干気圧されたらしい和が頷く。
「……じゃあ、契約者についてはどういう風に聞いてるの?」
まさか契約者が死ぬと、それ以上の成長が見られないからお役御免になって自分が殺されることとかも知らないなんて無いよね……?
逆になんて刷り込まれてるの……?
「えーと、契約者と契約を交わすとブルジェオンの能力が格段に上がるっていうこと……後は契約者を守り抜ければ私たちも普通の人間同様にずっと一緒に入れるっていうこと……。 後は契約者が亡くなれば、その人と契約していたブルジェオンも退場させられるから、ブルジェオンを狙うより契約者を狙った方がいい、というこあとくらいですね」
彼女に嘘をついている様子は無い。
……それにしても、大半が嘘で塗り固められてるんだね。
「そっか……じゃあ、和は何も知らなかったんだね…………。 そしたら、しょうがないんだよね……?」
この感じからして、青年は何も知らずに命の危機に晒される状況に置かれることになったのだろう。
俺自身が大切な人といることで、相手に苦痛を与えるというジレンマに悩まされていたのに……?
だから、我慢して性的興奮を共有して契約する基礎契約以外の朋友契約も使わずにいるのに、こいつは?
何も考えずに……!!
「潮さん? どうしたんですか?」
頭が痛い。
感情の起伏に比例して脳も揺さぶられているかのような痛みに襲われた。
「…………痛い」
その言葉が零れたのを皮切りに、色々な感情が漏れ始める。
「……嫌だ、痛いよ……! 何で俺が……!! 俺が何をしたっていうの……!?」
あれ……?
さっきまではカーテンのオレンジや壁の白色が見えてたのに、視界が真っ暗に…………。