複雑・ファジー小説
- Re: 命短し、闘れよ乙女!!【コメ求む】 ( No.148 )
- 日時: 2012/04/01 17:11
- 名前: 野宮詩織 ◆oH8gdY1dAY (ID: pvHn5xI8)
- 参照: 夢幻がエクストリーム介護疲れな回。
「夢幻さん、潮さん、【自主規制】って何ですか?」
「ッ!?」
「……どこでそんな言葉覚えてきたの?」
お粥を食べ終えた潮さんが起き上がり、リビングに食器を返しに来た時に、突然、和ちゃんに口に出せないようなことを尋ねられた。
潮さんも驚いたようだが、すぐに犯人が分かったようで遠い目をして和ちゃんに尋ね返す。
「ユリアさんに聞いたんですけど……」
キョトンとした表情のまま、銀色に輝く凶器が装着された手を顎の辺りにあてた和ちゃんが答える。
地上波では流れないだろうし、ユリア以外に原因は考えられないよな。
「肝心のユリア嬢は?」
潮さんが辺りを見回し、和ちゃんに変なことを吹き込んだ張本人の姿を探す。
実を言うと、さっきからずっとユリアが部屋にいるのを俺は知っている。
でも、どうせ、男2人がイチャイチャしている本でも読んでいるのだろうと思って、放置してあるけどな。
だって、その状況でユリアに捕まると、もれなくその手の話しを延々と語られるし。
「ユリアさん、いますか?」
和ちゃんがユリアの部屋の扉を叩く。
すぐに「いるよ」という返事と共に扉が開く。
案の定、アレな本を読んでいたらしく、左手にはしっかりと栞が挟まれた異彩を放つ本があった。
栞挟む余裕があったなら、本を机なりベッドの上に置いてくるべきだと思う。
「あれ以外にも男2人がイチャイチャしているような本、持ってきてたのか……」
呆れからくる溜め息と一緒に考えていたことも漏れてしまった。
その言葉を聞くやいなや、ユリアが俺の前に本を突き出して、こう告げた。
「残念! 男3人がイチャイチャしている本でしたー!」
これ以上ないくらい典型的なドヤ顔を浮かべて、ユリアがぐいぐいと本を更に近づけてくる。
これは「殴ってくれ」って言っていると解釈していいのか?
「ユリアさん、夢幻さん達に【自主規制】について聞いたんですけど、教えてくれません……」
そんな俺の心情など更々知らない和ちゃんが、残念そうな表情でユリアにそう告げた。
間違っても、その言葉を知らないからといってしょげる必要性なんてない。
むしろ、しょげちゃいけない。
「潮さん、和ちゃん、ちょっとリビングで待っててください」
とりあえず、潮さんと和ちゃんの2人を部屋の外に取り残し、扉の鍵を閉める。
2人共、何がなんだか分かっていないような表情だったが、きっと素直にリビングに行ってくれるだろう。
「ユリア! あんなこと教えたりして、何考えてるんだよ!」
ユリアに向かって怒鳴る。
久しぶりに大きな声を出したものだから、咽せそうになったのをこらえる。
いくらなんでも、咽せたら格好つかないからな。
「なんで、そんなに怒ってるの? ただ単にお兄ちゃんがヘタレすぎて、和ちゃんに手を出さないから後押ししただけだよ?」
「余計なお世話だ!」
—*—*—*—*—
「余計なお世話だ!」
お兄ちゃんはそう言って、部屋の扉を勢いよく閉めて、部屋から出て行った。
「もー、何なのさー」
理不尽な程に怒られたイライラを何にぶつけたら良いか分からないから、何となくベッドへとダイブしてみる。
ベッドはお兄ちゃんとは違い、優しくあたしを受け止めてくれた。
少し冷たい羽毛布団の表面が気持ちいい。
特に顔や太ももを押し当てると、いい感じだ。
…………なんか違う気がするけど、まぁ、いいや。
もう少しだけモフモフしていよう。