複雑・ファジー小説

命短し、闘れよ乙女!! ( No.165 )
日時: 2012/04/14 20:21
名前: 野宮詩織 ◆oH8gdY1dAY (ID: pvHn5xI8)
参照: 潮「だから、この子誰なの……?壁|ω・`)」な回。

「このあたしに逢ったアンタは超アンラッキー☆ アンタに逢ったあたしはラッキー☆ ライバルを削れば削る程、マスターは誉めてくれるし、喜んでくれる!」

彼女はどうやら俺を倒したいらしい。
まぁ、『ブルジェオン』ってそういうものだしね。

「今、用があって、急いでるんだよね。 ちょっとそこ通してくれないかな?」

一応、尋ねてみる。
和みたいにお人好しというか単純な子だったら通してくれるかもしれないけど、この子はダメだろうなぁ。

「大丈夫☆ どうせその用は果たせないからさ☆」

最初と同じく弾んだ口調の彼女がドヤ顔で言い放つ。
ここまで自信満々の子とはあんまり闘いたくない。
だって、負けを認めずに粘ってくるし。

「しょうがないなぁ……」

本当に通してくれるつもりが無いようだから、臨戦態勢に入る。

彼女は巨大な斧を背負っているところから考えて、近距離パワー型らしい。
いや、斧の柄が長く出来ているから、中距離かな?

「【空牙龍星】!!」

彼女が斧をフルスイングすると、こちらへ向かって青い波動のようなものが寄せてくる。

近距離、中距離、遠距離を兼ね揃えた武器や能力というのはなかなか厄介だ。
そして、さっきの自信に満ち溢れた言動からして、何人かの『ブルジェオン』は倒してきたのだろう。

そんなことを考えながら、さっき放たれた青い波動を右に跳んで避ける。
その瞬間、青い波動が消滅し、彼女が虚空へ向けてもう一度斧を横なぎに一閃する。

「かかった☆」

そして、頬を何か刃物のような鋭利な物体が掠め、俺の頬から一筋の血が流れ出す。

……何のためにスーツに着替えてきたと!!
あの神社いえに辿り着くまでにこの傷が治りきらなかったら、心配性の初圖のことだ。
きっとしばらくは家から出してくれないだろう。

そんなことになったら、ユリア嬢との約束が守れなくなる。

「んー、残念☆ 顔面真っ二つは失敗しちゃった☆」

彼女がウインクをしながら、そう言った。
時間が無いということや彼女のあざとい、というよりぶりっこに近い言動など色々な要因が重なって、なんだか非常にイライラする。

「急いでるんだ、って言ったよね? 遊んでやろうかとも思ったけど、お前、つまらないよ。 もう飽きた」

彼女は自称強いらしいが、センスは無いし、戦略があるわけでも無い。
火力だって、結界などの防御特化型の子は愚か、和レベルの火力を持った相手にごり押ししたところで火力差で負けるだろう。

今まで倒した相手だって不意打ちでもしたのか、戦闘力の低い子ばかりを運良く引き続けたのかのどちらかだろう。
うっかり自信をつけてしまったばかりに、調子に乗って俺の前に現れた、というなところだろう。

「何言ってるの☆ あんたって攻撃型じゃない『ブルジェオン』でしょ☆」

……この子は調子に乗ってるとかいう規模の話じゃないみたいだ。
あの研究者のゴミ共はこんなバカを量産してどうするんだろうか。
奴らが作りたいものは自立している兵器だろうに。
こんな知能レベルじゃ、役に立たないどころか邪魔になりかねないのにねぇ。