複雑・ファジー小説

命短し、闘れよ乙女!! ( No.90 )
日時: 2012/01/26 22:51
名前: 野宮詩織 ◆oH8gdY1dAY (ID: YkgECPwY)
参照: コメントは明日返します!! 遅くなってすみません……

「もうしょうがないんで、潮さんは俺の布団、和ちゃんはユリアの布団、ユリアはマットレスに布を敷いて寝て」

潮さんと和ちゃんは宿が無いから追い出されると公園で寝ることになると泣き脅された結果がこれだ。

「お兄ちゃんはトイレで寝るの?」

ユリアが何事もなかったように聞いてくる。

「そんな訳あるか。 俺はソファで寝る」
「ユーモラスに欠けるね」

俺のまともな答えに対して、ユリアが吐き捨てる。
だからといって、トイレやキッチンで寝ると言い出す奴はそうそう居るまい。

————

「夢幻さん、おはようございます」

朝、ソファの微妙に固い生地から身体を離すとすぐにキッチンにいる和ちゃんが目に入った。

「おはよう。 喉渇いたの?」

和ちゃんがキッチンにいる理由を考えて尋ねてみる。

「そうだとしたらエプロンなんか付けてませんよ」

和ちゃんがにこやかに答えてくれた。
言われてから初めて気づいたが、確かに和ちゃんはエプロンを身につけている。
ん? というか————

「間違ってたらごめん。 あのさ」
「どうかしましたか?」

和ちゃんに問いかけようとすると、彼女はキョトンとした様子で俺の問いを待つ。

「————エプロンの下に服、着てる?」

エプロン以外の部分から見える白雪のような肌が服に隠れることなく、見事に全部見えている。
つまり、俺の方から見ると、彼女はエプロンしかつけていないように見える。

キャミソールと短パンとか元々露出度の高い服であれば、偶然ということもあり得るが、裸エプロン状態であれば問題だ。
さっきの言葉で変態のレッテルを張られてしまうかもしれないが、後者であった場合を考えるとそのくらい安いものだ。

「ユリアさんが『女の子は裸エプロンだよね!!』と言っていたので……」

和ちゃんが少し頬を赤らめながら、答えた。
絶対に鵜呑みにしてはいけない言葉を鵜呑みした結果、こうなっているらしい。

不謹慎だが、裸エプロン姿で顔を赤らめながらもじもじしている和ちゃんは今まで会った人間の中で一番可愛い。
通常時の和ちゃんも十二分に可愛いが、こっちの方が俺の好みにはまっているお陰で余計に可愛く見える。

「それに、夢幻さんはこういうのが好きだ、とも言っていましたし……」

一体俺の妹は兄である俺のことをどこまで知っているのだろうか。
少し気になるが、目の保養になったということと相殺で気にしないようにしよう。

「夢幻さん、朝ご飯は和食派ですか? 洋食派ですか?」

和ちゃんが裸エプロンのまま、尋ねてくる。
非常に可愛いのは認めるが、恥ずかしいなら着替えてくるべきだとは思う。

「洋食だけど……どうして?」
「これから夢幻さん達にお世話になるんですから、お手伝いくらいはしたいな、と思って……。 とりあえず、料理はある程度出来るのでお手伝いしようと思って!」

和ちゃんの裸エプロン姿には、料理をするからという理由も含まれていたらしい。
その理由があったのなら、間違い無くちゃんと服を着るべきだろう。