複雑・ファジー小説

Re: ジャック・ザ・リッパー_薔薇を好む悪魔_ ( No.4 )
日時: 2011/08/15 12:58
名前: 爆 ◆fcK1rqhpnk (ID: 4fy95xCZ)

プロローグ
_愛しき薔薇の消失_





「この子が産まれるのももうすぐだな…」





 大きな大きなお屋敷に声が響く。
声の主はオマール・ジャスミン。ドルトン家代々伝わる執事一家の跡継ぎだ。しかし本人にその気はいまいち無い様だ。
「お父さんは男の子っていってたけど、あなただけに似ず私のも似てくれるかな?」
大きなお腹のエマが言う。
「当たり前だ。この子は君と僕の大事な大事な子なんだから。君にだって似るさ。」
「そう?」
「もちろん」
エマールは笑顔で頷く。
「名前は私達が大好きな情熱の薔薇。ローズがいいわ。」
「僕もそう思ってたよ。」
胸に付いている赤薔薇をつっつく。
「ローズ…大きく育てよ。」
2人、笑いながらお腹をなでる。
すると、エマは時計をしぶしぶと見て言った。
「そろそろパーティの時間だわ…。」
「あぁホントだ。君はその子が産まれるまでは踊るのも我慢しなくてはね。」
エマの顔を見て笑う。
「そうね。」
エマも笑い返す。
すると部屋をノックする音が聞こえた。
「エマ。いるか?」
「はい?お父さん?」
ドアの奥からエマの父の声が聞こえる。
「そろそろパーティだおいで。」
エマ父は大病院を営む院長だ。
妊娠しているエマが一人で階段を下りるのは危ないためいつもこの様に迎えに来る。
「今行くわよ。オマールさんちょっと手を貸して下さる?」
イスのひじ掛けに掛けている手を伸ばす。
「yes,my,princess」
オマールは膝をつきエマの手を握る。
「プリセンセスなんて…照れるじゃない。」
立ち上がるとオマールの顔を見て笑う。
「さっ。行きますよ。」
ドアの前まで手をつないで歩きゆっくりとドアを開けた。
そのとき、エマがふらついた。
オマールは倒れそうになるエマの体を支える。
「大丈夫よ。ちょっと立ちくらみ…」
「疲れているなら無理はしない方がいいよ。」
「大丈夫だってば。」
父も心配そうに顔を覗く。
「大丈夫かエマ?」
「お父さんまで…だ・い・じょ・う・ぶ!!」
あきれた顔で言う。
「そ、そうか。なら行くぞ。」
オマールは握っていた手を離し、エマの父にエマを預ける。
「では私は着替えて参ります。また後ほど。お姫様を頼みましたよ。」
「はいよっ。王子様。」

そして階段へと一歩を踏み出す。
だが、
「うっ。」
再びエマにめまいが襲う。
「エマっ。」
階段から転げ落ちてゆく。
手をつないでいた父も一緒に。
しかしエマールが気づいた時にはすでに階段の下は
真っ赤に染まっていた。

「エ…エマ。エマァァァァァァァァッァァ、ローズ…ローズ。」

そう。

【情熱の薔薇の】の様に…