複雑・ファジー小説

Re: —Book on happiness— ( No.1 )
日時: 2011/08/17 22:40
名前: サポロ (ID: T3.YXFX2)

《プロローグ》—白紙—





コノ世界には、幸せの本と言う、本が存在していると噂されていた。
悪魔でも噂だ。


———そんなの、あるわけが無いじゃないか。


そういう大人たちの話は最もだと思う。
けども、僕の図書館には、ある絵本が一冊だけある。
その本には、幸せの本という題材で物語が描かれている。
僕はいつもその物語を父から聞かされていた。
幸せの本———。
小さい頃は良く、信じたものだ、と。
今は思う。


———カラランッ


鐘が鳴って。
扉は開く。




「こんにちわっ!本を読みに来たよっ」




少女は———アンドロイドだ。
機械。
その脇には、黒い服を着た男が居座っている。
彼の名は———知らない。
誰も知らない。
長年付き添ってきた彼女でさえ知らない。
ただ、こう呼ばれている。
《死神》———と。


「おはよう。何を読みにきたの?」

「今日は———」


世界は今日も平和だ。

本を読もう。