複雑・ファジー小説

Re: カンテラノマホウツカイ ( No.10 )
日時: 2011/09/30 21:59
名前: サポロ (ID: T3.YXFX2)

「ッッ!」


男がカンテラをかざした瞬間、黒い粒子が一瞬にして飛び散った。
そこから黒い炎が生まれる。




「粒子魔法・・・ッ!」




粒子魔法———ソレは、《カンテラ》を扱う者にしか使用出来ない術式だ。


『夜道————』
「!」


カンテラをかざし、俺は粒子を放つ。


「ぐっ・・・」


オレンジ色の粒子が溢れ出した。


「お前・・・何者だ・・・ッ!何でソレを・・・ランプを・・・ッ」
「・・・————」


悲しそうに眼を細めた男に、俺は一瞬気を緩めた。


(何で、そんな風に悲しそうに・・・)


「・・・夜道無為。そのカンテラを渡せ」
「・・・何に使うつもりだ」
「・・・」


男は何もいわなかった。



————ズガァァァァンッ



「!」



———ジャキッ



「———アウローラ魔法騎士団。一等魔術師のクロス・ロードだ。貴様を———《黒の魔術師》よ。貴様を連行する」


「アウローラ、魔法騎士団・・・」


在り得ない第三者に、男は戸惑う。


「夜道無為。貴様をシエル様の命で保護しに来た」
「シエル・・・?」


首をかしげる。


「オイ、シエル様って言えば・・・!アウローラ魔法騎士団の隊長じゃねぇか!」
「隊長・・・?」


(・・・シエル・・・シエル・・・シエル・・・!?)


「シエルが!?」
「おまっ・・・知り合いなのか!?」
「え、だって、うぇぇぇぇ!?」
「今はそんな事考えている場合ではない———」
「・・・無為———」


(・・・あれ?)


男は同じ、悲しげな目をしながら俺を見ていた。
何でそんな眼をするんだろう。
でも、何故か懐かしくて———。


「・・・またな」
「あ・・・」


黒い粒子に包まれて、男は消えて行った。


「・・・チッ・・・」
「あ、あの」
「あぁ、シエル様の命に従い、夜道無為。貴様を保護する」
「・・・あの。シエルは元気にしてますか?」
「・・・まぁな。・・・付いて来い。・・・ソコの友人も一緒に来い」


俺は、クロウ・クロスロードについていく。