複雑・ファジー小説

Re: カンテラノマホウツカイ ( No.4 )
日時: 2011/08/19 07:52
名前: サポロ (ID: T3.YXFX2)

《プロローグ》





「暖かくなったろ?」


青年は少年に言った。
少年の周りには無数のオレンジ色の粒子が飛び散っていた。
青年の右手に持つカンテラにも同じオレンジ色の炎が灯っている。


「それ、結構持つからしばらくは大丈夫だ」
「アリガトウ、お兄ちゃん」
「いんや、それ程でもないよ」


青年は苦笑いして少年の頭を撫で、立ち上がる。


「お兄ちゃんの名前、まだ聞いてないよ」
「あぁ。うーんと。じゃあ」


青年は少し困ったようにすると、持っていたカンテラ(ランプの事)を掲げて言う。


「皆俺の事をこういうんだ。《カンテラの魔法使い》」


青年はソレだけを言うと少年の前から消える。
青年は持ってたカンテラに先ほどとは違う、蒼い粒子の光を灯した。
朝が一向に来ないこの世界は、光無しでは歩け無い程暗闇だった。
夜は続く。


朝を迎えないまま。




「カンテラ持った魔法使いが」


———カランッ


「魔法の火を灯しながら夜道を歩く」


———カランッ






青年はカンテラを持って、夜道を歩く。