複雑・ファジー小説
- Re: 交錯する世界 第一幕(キャラ募集中、アンケート中) ( No.153 )
- 日時: 2011/10/09 18:41
- 名前: Rlcssha (ID: L.7ldCZ1)
それから20分後。おれは今、‘核’の本拠地に着ている。
本拠地、といってもそんなに広い訳ではなく、5、6階はありそうな建物と、そのまわりに、学校のグラウンドの1.5倍暗いの敷地がある、といった感じだった。
外見はそんなに豪華でもないな、と思っていたのだが。
錬「うおおっ」
思わず声を上げてしまうほどのすごさ。
中には何に使うのかわからない電子機器。
廊下も金属で出来ていて、歩くたびに聴こえるカーンという金属特有の音。
廊下を歩いていると、エレベーターまで見えてきた。
外からはあんななのに、エレベーターがあるとは驚きだ。
女性がエレベーターのスイッチを押す。
数秒後、エレベーターの扉が開く。
女性「乗りな」
と女性が言う。そういえば、まだ名前を訊いていなかったな…
そう思いつつ、おれはエレベーターに乗った。
錬「あれ…?ボタンが3までしかない…?もっとあると思ってたけどな…」
女性「ああ、この建物はもともと古い洋館を改造したものだから、天井も高いままなんだよ」
錬「へえ…」
おれが相づちをうつと同時に、三階に着いたようだ。
また少し廊下を歩き、ある扉の前で止まった。
扉の横には、小さい画面がある。女性がそれに指をあてると、ピピッという電子音の後に、扉が開いた。
女性「ここが、情報室。私達の仕事場」
錬「うわあ…」
まず目に飛び込んできたのは、中央の大きな画面。他にも、パソコンが多数あり、軍の本拠地のイメージにはピッタリだ。
女性「じゃあ、みんなは休んでもいいよ。錬はついてきて」
錬「は…?」
おれはその女性に付いていくことになった。
しばらくついていくと、また扉の前で止まり、画面に指を押し、扉が開いた。
後々知ったが、ここの扉は、隆樹たちの部隊以外は、全員指紋を使って開けなければいけないようだ。
実際、ここの扉は、指紋で開けられるようになっている。
隆樹たちは別で、腕のリストバンドで開けられるようだ。なんてハイテク。
女性「—ここなら誰も来ないでしょうね」
錬「ここは?」
女性「資料とかの倉庫。あまり使わないから、ほとんど人は来ないけどね」
錬「…」
麻紀「自己紹介がまだだったね。私は天司 麻生(あまつか あさえ)。好きに呼んでくれて結構。それで…あの部隊を担当してる。一応情報関係を集めるのが仕事だけどね」
錬「…」
麻生「で…お前は錬って言ったっけ?」
錬「…ああ」
麻生「—もう一回訊くけど、隆樹達の部隊に入る気はあるの?」
錬「…ないって言ったら?」
麻生「もちろん記憶を消して強制避難させるしかないでしょうね」
おいおい。
麻生「冗談よ。でも避難させるのは本当。でないと命の保証はできないから。…それはここにいても同じね」
錬「なら…」
麻生「入るなら、死ぬことも視野に入れておいてね」
錬「え…」
麻生「‘核’も軍だからねこうやって全面戦争の中、死ぬとまではさすがにいかないとは思うけど」
錬「軍って…国の自衛隊とかは…!?」
麻生「あれ、知らないのか?‘核’はその自衛隊と協力してやってるのよ。ヘリとかも自衛隊から借りてるものだしね」
錬「じゃあなんで‘核’を」
麻生「そこまではよく知らないけど…ある理由があって」
ある理由?
錬「まさか敵がやたらとこっちに来るとか?」
女性—いや麻生は目が点になっている。…図星?
麻生「ま、そんな理由かもしれない………ね」
どうやらその理由らしい。
麻生「話を戻すけど、入るの?」
そう、それだ。いざ入るという気にはならない。
かといって、このまま見過ごすというわけにもいかない。
よく、アニメなどであるだろう。
こういうパターンは、主人公が「入る」というはずだ。
そして、適当なわけをつらつらと言う———
錬「迷うな…」
麻生「何で迷う?入る、入らないの二択。もし、自分が何かしたいと思っているなら、入りな。そのときは歓迎するよ」
うわあベタな展開(自分で言うのもなんだが)。
これじゃ入れと言っているようなものだ。
麻生「…お前の目的はなんだ?」
目的…それはもちろん、もとの世界に帰ることだ。
それをここで言うわけにはいかないのだが。
麻生「…その目的のために、ここで何かできると思うか」
それを言われると難しい。
…もとの世界で、隆樹は誰かに襲われた。そして自分も。
それが…この軍に入ってわかるのか。何かを知ることができるのか。
…可能性はある。0%に近いかもしれない。でも、ただ見ているよりは…
錬「…いる…」
麻生「ん?」
錬「入る」
麻生「ほう…意外だな」
どこがだ。今超うれしい顔してるくせに。
麻生「入るなら三つ言わせて」
錬「?」
麻生「ここのルールだ。まず一つ、上の命令には従え。二つ、無断行動や一人で何かするのはやめろ。んで三つは…」
麻生「死ぬ覚悟でやれ、そして死ぬな」
おれはあ然として麻生の言う「ルール」を聴いていた。
麻生「わかったら、はい、ここに名前書いて」
渡されたのは、白い布と、黒マジック。…いつから持ってたんだ…?
錬「これは?」
麻生「契約のサイン。これを書いたら、今日から‘核’の一員」
サインを書くことに、少し怪しく感じたが、それを振りはらい、白い布に名前を書いた。
麻生「笹原…錬…よし、大丈夫。これで、お前も仲間だ」
錬「その布をどうする気だよ…?」
麻生「後のお楽しみ。あ、隆樹達はさっきの情報室にいるから。ちゃんと報告しておくようにね」
それだけ言うと、麻生は扉に向かった。
麻生「早く来ないと閉まるよ」
それを聞くと同時に緊張がほぐれ、おれは走った。
喜びと、悲しみが交錯する、扉の向こうへ。